愛した彼は、人ではありませんでした。 (ページ42)

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店へ入り、注文をする。

『キムチと、海鮮チヂミと、…ビビンバの小で。』

「お連れ様はよろしいですか？」

「僕はなにも。」

「かしこまりました。」

え、食べないの？

テヒョンのほうを見ると、

「…俺ダイエット中。」

…白々しい顔をして。

疑いの目を向けてると、

「…ほんとうにお腹すいてないんだよ。」

まぁ、いいけど。

運ばれてきた料理を食べながら、先ほどの話を掘り返す。

『さっき、考えが聞こえた…って。心の声が聞こえた…って、人の考えが読める、ってこと？』

「…。昔からね。」

あきらめたのか、ため息をつきながらそういったテヒョン。

「そこらに座ってる人の考えはね、…左から、女、金、女、金、金、…猫。」

人差し指を軽く曲げて、客を指しながら順番に示していく。

…そして最後に私をじっと見て、

「でも、Aの考えは読めない。」

真剣な顔でじーーーっと目を合わせてくる。

「Aだけ、わからないんだ。」

『……私って異常？』

そう聞くと、テヒョンは少し目を丸くしたあと、いきなり笑い出した。

「ふっ…、あははははは！……ふふっ、Aは俺が君の考えが読めないのは

自分がおかしいからだって思うの？俺が読めるってほうがずいぶんおかしいことだろ。」

『…そうなの？私、ほかの人と違うんでしょ？』

「面白い考え方するねー。」

まだくすくす笑っているテヒョンを横目に、運ばれてきた料理を食べる。