愛した彼は、人ではありませんでした。 (ページ39)

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怖いくらい無表情で歩いてくる彼は、男たちにつかまれている私を見ると少し微笑み、

一瞬でその笑みを消し、男たちをぎろりとにらんだ。

「…その子を離せ。」

「「あ？」」

なおも離さない男たちに近づくと

「…聞こえねぇの？」

凍り付きそうな低い声で男たちを見下ろす。

取り巻きの男たちはテヒョンにびびったのかあとずさったが、

私の腕をつかんでる男たちはなぜかあきらめず、自分たちよりだいぶ背の高いテヒョンを

にらみあげている。

「な、なんだよお前は。かんけーねぇだろ！」

なおも腕を離さない彼らにテヒョンはあきれたように男の腕をひねりあげた。

「いっっ、ててててててて！！！」

「だからさあ、離せっつったんだけど、俺。」

素早く私を背後に回すと

「…車、乗ってて。」

といい動かないテヒョン。私が慌てて車に乗り込むと、テヒョンはさらににらみをきかせて

素早く自分も車に乗り込む。

エンジンをかけるとアクセルを踏み込み、男たちすれすれへ車を走らせ、ひっくり返った

男たちを見ると、鼻で笑って車をUターンさせた。

どんどんスピードをあげて道路へ飛び出すと、テヒョンはいらだったようにハンドルを

切った。