愛した彼は、人ではありませんでした。 (ページ34)

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二人で海辺を歩きながら、先ほど引っかかったことを聞いてみる。

『あいつらはここには来ない、って……テヒョンたちのこと？』

「あー、まぁ。そうだね。」

『私、テヒョンは普通の人じゃないんじゃないかって思って、本人に何か隠してないか

聞いたんだけど、何も答えてくれなくて…。ここに来ないってのと何か関係ある？』

「…！……、ちょっと昔話になるんだけど、」

『！聞く！』

「…(笑)。これは、昔話っていうか伝説なんだけど…、

俺たちの祖先は狼だったらしいんだ。」

『…狼？』

「(笑)。そう、狼(笑)。伝説だよ？」

『わかってるわよ。』

「それで、俺らの祖先の一族と、テヒョン…キム家の祖先は敵対していたんだ。

冷戦状態が長く続いて、あるときお互いに条約を設けた。互いの敷地には干渉しない、

人間に危害を加えない。それを守るように、ってね。」

狼と敵対……、てことはキム家の祖先も人間ではない…？

『キム家の祖先…』

「A、これはあくまで伝説だからね？ほら、見ての通り俺は人間だ。」

詮索はさせないとばかりにくぎをさすジミン。

この地に伝わる伝説か…。調べてみれば何かわかるかもしれない。

『そうなんだ…！話してくれてありがと、ジミン。』

「信じられないような伝説だよねー。狼自体、めったに見ないのに。

……あ、A、この話はあまり他にはしないように、な？」

『わかってるよ。』

私だってそんなに口は軽くない。ていうか、こんなことを知りたがるもの好きは

私くらいだろう。