愛した彼は、人ではありませんでした。 (ページ23)

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病院につき診察を受けていると、

バンッッッッッ

「Aっ‼‼」

ものすごい形相で兄さんが駆け込んできた。

「大丈夫か！？車に押しつぶされたって…」

つぶされてはいないよ、兄さん。

「キム・Aさんですね？…検査がおわりましたよ。」

「キム先生、妹は大丈夫なんですか？」

「検査結果に異常はありませんよ、ソクジンさん。まったくもって健康体だね。」

『…テヒョンが私をかばってくれたの。でも変です。

私が見たときは彼はかなり遠くにいたのに、一瞬で私の隣にきたわ。』

「…そう、君はラッキーだったようだね。じゃあ大丈夫だとは思うけど、何か

問題があったらまたおいで。ではお大事に。」

先生がそう言って席を立つと私の後ろ側で診察を受けていた、車を運転していた彼が

こちらを向いて話す。

「ほんとうにごめん、ブレーキがきかなくて…」

『大丈夫よ』

「妹に話しかけないでくれ、君とはあとで俺が話す。」

返事をすると兄さんがさえぎって、境にあるカーテンを閉めてしまった。

車に乗っていた彼の方は額から血が出ていて、無傷の私より重傷らしかった。

『…ちょっと、』

「A、こいつのせいで死にかけたんだぞ。」

『ええ、そうね。でも死んでないわ。』

異常なしの結果を受けたのに。

兄さんは心配性だ。