愛した彼は、人ではありませんでした。 (ページ13)

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「今日はそれぞれのテーブルに配ってあるプレパラートの植物の細胞を見て、

特徴を記しなさい。一つのテーブルに顕微鏡は一つしかないから、交互に見るように。」

先生がそういうと、私たちのテーブルの真ん中に置いてあった顕微鏡が

ずず…と私のほうに動く。

見るとキムテヒョンが手の甲で顕微鏡をおしていた。顔は真正面を向いたまま。

…先に見ろってこと？

会釈をして顕微鏡を自分の手元に引き寄せる。

見た後に真ん中へ顕微鏡を戻すと、キムテヒョンはそれをがばっと掴んで、自分の方へ

引き寄せた。

それぞれ観察したあとも特に会話はなく、時間が過ぎていく。

するといきなり隣でガタっという音がした。

驚いて振り向くと

キーンコーンカーンコーン……

チャイムがなり、キムテヒョンがかばん引っ掴んで教室を出ていくのが見えた。

…そんなに私の隣嫌だったのかな。

なんだか申し訳なくなり、講義の変更ができないかと学務へ行くことにした。