第45話 ページ47
ピロン
脳天気な通知音が鳴り、私は携帯に目を向けた。
空はもう赤く染まり始めており、時計は19時をさしている。
宿題を進めていた手を止め、私は携帯を手に取って画面を見た。
そこに表示されていたのは、川上くんからのメッセージ。
そういえば午前中に、夏休み中話せる時間が取れるか聞いていたところだった。
メッセージアプリを開き、川上くんとのトーク画面を開く。
彼からのメッセージを読み、ふーんと思い、しかし引っかかり、再びメッセージを読む。
「えっ!?」
返信されていた言葉はとても意外なものだった。
『時間取ろうとしてくれてありがとう。でも、今はまだ話は聞かなくていい。』
え...どういうこと?
私は思ったままを返信した。
『どういうこと?』
少し待つと、直ぐに既読がつき、更に少し待つと返信が届いた。
『凜の色々がわかったのかもしれないけど、俺にはまだそれを受け入れられる自信が無い。夏休みが明けてから、俺が心の準備ができてたら聞くよ。だから、夏休み中はまだいいや。』
メッセージを読んで、私は目を見開いた。
心の準備が、まだできていない。
川上くんは、まだ立ち直れてない。
私だって完全に立ち直った訳では無いが、凜がいなくなった理由を探ることの出来るまでは回復している。
みんながみんな、受け入れられているわけではない...。
既読をつけっぱなしにしていたトークを思い出し、私は慌てて返信した。
『うん。わかった。ごめんね。』
少し待たせたが、意外にも直ぐに既読がつき、返信が来る。
『いやいや、謝ることはないよ。謎解き、頑張って。』
私がありがとうと返すと、既読はついたものの返信が来なかった。
会話の終わりを意味しているのだろう。
私もメッセージアプリを閉じて電源を切り、携帯を机に置いた。
本当に意外だった。
学校でも、元気がないとはいえ私の話を聞いてくれて、たまに笑っていたりもしていたから、回復していると思っていたが...
確かに、そういえば、私が凜のいなくなった理由を探すと言った時、彼の反応は驚いたものだった気がする。
斎藤は、もうそこまで立ち直っているのか。
今思えば、あの反応はそう言っているかのような態度だったかもしれない。
私は再びノートを取りに部屋に行き、さっき情報をまとめたページを開くと近くにあったシャープペンシルで書きなぐった。
【全員が、立ち直っているわけではない。】
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fruit(プロフ) - 鳥の子さん» うわぁぁぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!そして読みに来てくださってありがとうございました!!自分の作品をこんなに好きって言って貰えるとすごい嬉しいのですね...いますごくテンション上がってます笑コメントもしてくださってありがとうございました!! (2020年1月26日 0時) (レス) id: dc8b637267 (このIDを非表示/違反報告)
鳥の子(プロフ) - 一通り読んで参りました……!好き……。余りにもLOVE過ぎて……。もう説明文の所から夢主ちゃんの覚悟が伝わってきて、けれど最終的には後悔してしまうのだろうな(覚悟ほしていたけれど)とか思っちゃうとLOVE……。更新頑張られてください!! (2020年1月18日 17時) (レス) id: fababa1230 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 凛奈さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!!凛奈様のような読者様がいらっしゃるので頑張れるわたくしです。これからもどうぞよろしくお願い致します!! (2019年5月28日 17時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
凛奈(プロフ) - 更新楽しみにしてます!すんごい面白いし、好きです!! (2019年5月28日 6時) (レス) id: 225bb681ca (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 花風雪 サブありさん» うわぁぁ嬉しいコメント!!!読んでくださって本当にありがとうございます!!!今はテスト前で少し更新をお休みしていますが、来週からまた再開します!まだまだ続きますよ〜!?これからもよろしくお願いいたします!!! (2019年5月26日 7時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:fruit | 作成日時:2019年3月4日 22時