第13話 ページ14
「春美ちゃん...ありがとう。私にもできることは協力する。でも、私も凜が命を捨てた理由に思い当たりがないの。本当に悩みもなさそうに楽しそうだったから...。なにか思いついたら教えるけど、春美ちゃんも、なにか掴んだら教えてね。」
凜のお母さんのその言葉を背に、私は山田家を出た。
部屋を見て回っても、凜のお母さんの話を聞いても、きっかけになるようなものは見つからなかった。
もう糸口が見つからない...。
重い足取りで家路を歩く。
ふと頭に浮かんだのは、拓磨のことだった。
もう長い間謝ってないな。
凜のお母さんにも宣言したし、理由を見つけたいって強く思ったからには、諦めるつもりはもうない。
そう拓磨に言ったなら、どうなるんだろう...
また冷たく突き放されるのかな。
わかったわかった、と受け入れてくれるのかな。
...今日謝ろう。
決意したとはいえ、拓磨の同意がないのはやはり心に枷がある。
拓磨を説得して、正々堂々と凜の真相をつかみたい...。
自宅に帰る足を早める。
決めたからには早くしたい。
拓磨にちゃんと、説明しないと。
小走りで自宅に到着すると、急いで鍵を開けて勢いよく玄関のドアを開けた。
靴を脱ぎ捨て、荷物を放り投げて部屋に直行する。
机の上に置いてある携帯を直ぐに手に取り、メッセージアプリを開いた。
拓磨からの通知は、もちろんない。
久しぶりに彼とのトーク画面を開き、震える手を抑えながら文字を打った。
《拓磨、久しぶり。今日電話出来たりしない?》
慎重に送信ボタンを押し、メッセージが送れたことを確認する。
「...。」
少し待ったが、既読はつかない。
まだ学校なのかな...
とりあえず携帯を机に戻し、投げ捨てた荷物と靴を整え、制服から着替えた。
お弁当箱をバッグから取り出し、台所に持っていこうと部屋を出た。
...すると。
ーーーピロン
「...!」
携帯の着信音が鳴った。
私は急いでお弁当箱を台所に置いて部屋に戻り、再び携帯を開いた。
そこに表示された通知は
「拓磨...」
やはり先程のメッセージに反応した拓磨からの返信だった。
《いいよ。いつからする?僕は今からずっと暇だからいつでもどうぞ。》
いつでも...
それなら、早くしたい。
早く謝りたい。
私は、ゴクリと唾を飲み込み、口を固く結んだ。
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fruit(プロフ) - 鳥の子さん» うわぁぁぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!そして読みに来てくださってありがとうございました!!自分の作品をこんなに好きって言って貰えるとすごい嬉しいのですね...いますごくテンション上がってます笑コメントもしてくださってありがとうございました!! (2020年1月26日 0時) (レス) id: dc8b637267 (このIDを非表示/違反報告)
鳥の子(プロフ) - 一通り読んで参りました……!好き……。余りにもLOVE過ぎて……。もう説明文の所から夢主ちゃんの覚悟が伝わってきて、けれど最終的には後悔してしまうのだろうな(覚悟ほしていたけれど)とか思っちゃうとLOVE……。更新頑張られてください!! (2020年1月18日 17時) (レス) id: fababa1230 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 凛奈さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!!凛奈様のような読者様がいらっしゃるので頑張れるわたくしです。これからもどうぞよろしくお願い致します!! (2019年5月28日 17時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
凛奈(プロフ) - 更新楽しみにしてます!すんごい面白いし、好きです!! (2019年5月28日 6時) (レス) id: 225bb681ca (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 花風雪 サブありさん» うわぁぁ嬉しいコメント!!!読んでくださって本当にありがとうございます!!!今はテスト前で少し更新をお休みしていますが、来週からまた再開します!まだまだ続きますよ〜!?これからもよろしくお願いいたします!!! (2019年5月26日 7時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:fruit | 作成日時:2019年3月4日 22時