愛を知らない王女が、愛を学ぶ物語【2】

第88話 ページ49

リベラside

みんなが驚く中、1人反応が違うものがいた。

・・・キリト


キリトだけは驚きがなかった。


まさかclockの存在を知っていたの・・・？


キリトの顔は悔しげで、静かに下を向いたまま目を閉じていた。


リベラ「キリト・・・」
ラサ「そうですね。」


キリトの元に歩み寄ろうとしたとき、ラサゴベアに遮られた。

彼はそんなことにも気づかず言った。

ラサ「帰るとしましょう。」

リベラ「え？」

ラサ「迎えも来ているし。」

リベラ「っ...」


とっさに後ろを見る。


高い窓に、かすかに人影が伺えた。

全く気がつかなかった。

気配を全然感じなかった。



・・・いや、気配は感じられない。


そもそも気配なんて出ていない。


・・・ということは


ラサ「彼は魔力持ちではないですよ。」

リベラ「え・・・？じゃあ」

ラサ「いえ、国王です。」





国王なのに

魔力持ちではない？



はっ


リベラ「まさかっ！！！」

バサッ


翼の羽ばたく音がした


その音はラサゴベアが自身の背中に出したもので、今すぐに飛び立とうとしていた。

そして不敵な笑みで言った。


ラサ「彼は地球人だ。」



リベラ「っ!!!」






突然大きな風に包まれた。


少し待つと、だんだんそれは弱まっていき、霧が晴れるようになくなっていった。


ギュッと強く瞑っていた目をゆっくりと開くと、そこにはラサゴベアの姿はなかった。


とっさにさっきの窓の方を振り返ってみるが、、窓が開いたままで、風が通り抜けていただけだった 。




そして、思い出すようにもう一度目を閉じた。


((彼は地球人だ。))


・・・あの男が来ていた服は確か


キリト「和服です。」

リベラ「・・・！」

キリト「確か、地球の極東に和服を着る国がありました。」

リベラ「・・・そう。」


地球人・・・

ますます大変になりそうだな。







そしてもうひとつ。

キリトが気になる。


clockのことは前から知っていたの？

clockが目指す本来の目的をしっていたの？


リベラ「キリト。」

キリト「はい。」

リベラ「clockのこと、知ってたの？」



私がそう聞くと、キリトの顔が一瞬曇った。


見たことのない顔


目が鋭くなり、直視できないくらい怖かった。


しかしすぐにその怖い顔は和らぎ、キリトが声を発した。


キリト「・・・はい？」

何故か今は聞いてはいけない気がして、私は誤魔化した。

リベラ「ごめん、なんでもないわ。」

fruit話→←第87話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す