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月島がAから離れたら俺はどすどす効果音がしそうなぐらいでAの元へ向かう。
顔が真っ赤で月島のことしか考えてなさそうなAに少しでも俺の存在が入るように声をかける。
菅原「A」
「はっ！？どうしましたか！？」
Aは驚いた表情を見せる。さっきの恥ずかしい場面を俺に見られたのだと思っているのだろう。残念ながら全部見ていた。
菅原「ぶはっ、なんでそんなにおどろいてんの笑さっきのどうだった？」
「さっきのって？」
菅原「月島に手ぇ繋がれただろー？どう感じた？」
「……死ぬかと思いました、」
菅原「俺と繋いだときよりもドキドキした？」
「……はい、私月島のこと好きです」
ばきっと心臓にヒビが入った気がした。
それでもAの前では余裕があるかっこいい先輩でいたくて偽りの笑顔をつくる。無意識に拳に力が入ってしまう。
相手には悪気なんて1ミリもないのに、こうやって俺だけしか知らない気持ちが傷ついて苦しい。
菅原「やっと自覚したか鈍感ちゃん」
「菅原先輩もいろいろとありがとうございます！」
「先輩も助けが必要な時は遠慮せずに言ってくださいね」
じゃあ今、俺の傷付いた心を癒すために月島じゃなくて俺を選んでって言ったら助けてくれるのだろうか。
……いや、やめよう。
菅原「頼もしいなぁ。じゃあその時が来たら頼むよ」
「はい！」
手を伸ばせば届く距離にいるのに、抱きしめられる距離にいるのに、俺は人の女の子に手を出すほど強くないし、常識がないわけでもない。
バケツにボトルの水を汲み終わったAは体育館に戻っていく。はあ、と力が抜けてそのまま壁にもたれかかる。
これで俺の責務は全うした。いや責務って。俺が好きでやったことなのに、なんでこんな傷ついてんだよ。
こんなことになると分かっていながらも、俺は少しでもAの傍にいれることを選んだ。それがこの結果だ。
1人で決断して、1人で苦しんで。勝手に涙が溢れてくる。
でも残念だったな月島。俺はまだAを諦めることなんてできないんだよ。
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作者名：らう | 作成日時：2024年3月25日 15時
