どうせ今だけ【月島蛍】 (ページ35)

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「あれ、カバン月島が持ってきてくれたの？」

月島「それは山口」

山口、どこまでも良い奴だなあ。あれ、でも私が起きるまで待っててくれた月島も相当良い奴なんじゃないか。

「じゃあ帰ろっか」

カバンを肩からかけて暗い夜道へ歩き出す。その数歩後ろから着いてきていた月島がため息をついた。

月島「…はあ」

「え、ため息？」

月島「君ってバカなのかただ忘れたフリをしてるのか分かんないよね」

「何の話？」

その言葉を聞いた月島はまたさっきよりも大きなため息をついた。ため息だけじゃ何を話したいかなんて分かんないじゃん。

月島「僕が君に言った言葉、覚えてない？」

「え、あー…チビとかバカとか？」

月島「……」

私が覚えていないことに苛立ちを覚え始めたのか顔がすごいことになっている。大体なんのことを月島が言ってるのかは検討がつくけどそれを言うには私には難易度が高すぎる。

てか、チビもバカもそれこそ1番言われてる気がするし。気に食わん。

次の街頭まで何歩か数えようとした時、私と月島の影が重なった。

「え、は……？」