どうせ今だけ【月島蛍】 (ページ33)

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月島side

この1本もかれこれ10分ほど続いている。味方から聞こえる息切れの声。汗が頬から顎に伝い、地面に落ちる。

相手コートにボールがあれば気が楽だけどこっちに来れば話は別。

3対3の試合は本物の試合とは違って人が少ないからいつもより動く範囲が大きい。だから疲れやすい。

しかも運悪く味方は菅原さんと田中さん。僕が手を抜いたことなんてすぐに分かる。しかも、菅原さんに至ってはボールをすぐに僕に流してくる。

相手も運悪く影山と日向と澤村さん。頭がキレる澤村さんは影山と日向を上手く使ってラリーを長引かせる。僕たちが疲れて隙が見えた瞬間に一気に攻め落とすという戦法だろう。

ああ、早くこのラリー終わらないかな。適当にやってても菅原さんや田中さんが拾い続けるので、段々やっていくうちに罪悪感が生まれて止めた。

日向「俺に持ってこおおおい！！！」

日向がライトに飛ぶと見せかけてレフトに来た。僕は1歩踏み込んでブロックを飛ぶ。あ、ちょっとミスった。

そのボールはこっちのコートにも相手コートにも落ちることはなく、一直線にコートの外に向かう。ボールの先にはAがいた。

澤村「A！避けろ！」

痛そうな音がした。

菅原「おいA！！大丈夫か！？」

清水「揺らさないで！澤村、氷持ってきて！」

澤村「お、おう！」

澤村「清水！」

清水「ありがとう……保健室連れてったほうが良さそう」

菅原「あ、じゃあ俺」

月島「僕が保健室まで運びます」

元々、僕がワンチしたボールがAに当たったんだし、当たり前のこと。Aの眉間ら辺が赤くなっていてここにボールが直撃したことが分かる。

僕は脳を刺激しないようにおんぶして保健室まで運ぶ。その際、おお、と誰かが声を上げたけどそんなことは気にしてられない。保健室まで足早で向かう。

この人に何かあったら僕が、ダメだ。