どうせ今だけ【月島蛍】 (ページ30)

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月島「ねえ」

あの時以来、たいして喋ってもいなかったから急に喋りかけられたことでびっくりしてしまう。
久しぶりに月島と話すからいつもよりも饒舌になる。

「どした？月島普段も圧あるのに体育倉庫電気つかないし逆光ですごい怖くなって、る…」

抱きしめられた。月島の大きい体に私の体がすっぽりハマっている。

こんなことをされると、ちゃんと男の人なんだなということを気付かされる。

見た目なんかひょろひょろなのに、筋肉を感じる。少し汗の匂いもする。

私は行き場のない固まった手をどうするか考えていたら今度は目を合わせてきた。さっきですら、目を合わせることもできなかったのだからこれはハードルが高すぎる。

月島「A僕のこと避けすぎ」

「いや、避けてるつもりは」

月島「ふーん」

「……あの恥ずかしいこれ」

月島ははあ、とため息をついてから私をまた抱き締める。
体育倉庫外の喧騒が聞こえなくなって、まるで二人だけの空間にいるみたいだ。

菅原「おーい、2人とも何してんの？」

体育倉庫の入口に菅原先輩が突っ立っている。

声色からして気付いてたな。わっるい先輩だよほんと。