参ノ型 ページ5
「…A…Aッ!」
炭治郎の声…?
目を開けるととても温かいところに居た。
でも何故か川があって、その先に父さんや母さん、弟や妹達が並んでいる。
「…A、炭治郎と禰豆子をよろしくね。」
母さんが悲しげな笑顔を浮かべて言う。
私も今、そっちに……____
「来るんじゃねぇよ、姉ちゃん!!」
竹雄が叫んだ。
両の目に大粒の涙を溢れさせて。
「お姉ちゃんは
花子が私を制した。
そして____
「A、皆を…炭治郎と禰豆子を、任せたよ。」
死んだはずの父さんが懐かしい優しげな笑みを浮かべて、私の背中を押す。
「父さん…ッ、皆…ッ!」
私は叫んだけれど、それは儚く虚空へ吸い込まれていった。
「…A!!」
再び目を開けると泣き顔の炭治郎が見えた。
「あ…れ?私、死んだはずじゃ……?」
「うわあああ!」
炭治郎が突然、大声で喚きだす。
「そうだ、皆…皆は!?」
あまりにも惨い光景は、悪い夢じゃなかった。
「Aまで死んだら…ッ俺は!」
「____待って、まだ禰豆子からは匂いがする。」
つんざくような血の匂いが鼻腔をくすぐる。
…が、禰豆子の匂いが微かに鼻を掠めた。
「本当か…?」
炭治郎は混乱してそれどころじゃなかったろうに。
いつも以上に気怠い身体を酷使して禰豆子の方へと足をやった。
微かに禰豆子だけ、吐息が感じられる___
白く吐き出された息がそれを裏付ける。
温かい。
そう思った。
同時にあの男に対する怒り…憎悪、嫌悪、厭悪…
連ねても尚、消える事は無かった。
腸が煮えくり返り、沸々と私の中で『何か』が___
「…Aッ!」
ハッとした時には炭治郎が禰豆子をおぶっていた。
「うん、行こ…」
「Aはここで待っててくれ!Aはあまり身体が強くないから…」
「……は?」
思わずすっとんきょうな声を上げてしまう。
妹が私の命よりも大切な妹が死にそうだというのに?
「Aは、無理をするな。」
純粋に、炭治郎が言ってる事は、分かってる。
でも、今は、納得したくなかった。
「…っ本気で言ってるの!?禰豆子が、死にかけてるのに、それを傍観しながら見守れって!?」
「……でも」
「でもも何もないの!私の、せいなの…私が皆を、守れなかったから…お姉ちゃんなのに…」
「…分かった、一緒に行こう。」
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月花月 - 神作品だ!! (2020年7月22日 23時) (レス) id: 87d7912e2b (このIDを非表示/違反報告)
茉鈴(プロフ) - 緋月。緋月の館さん» 次女ですけど。 (2020年7月12日 19時) (レス) id: 3c50c30f7a (このIDを非表示/違反報告)
茉鈴(プロフ) - 緋月。緋月の館さん» 私もです。2、3歳から9歳か8歳の途中まで喘息でよく風邪とか咳、鼻水出してました。部外から失礼しました。 (2020年7月12日 19時) (レス) id: 3c50c30f7a (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - 茶々さん» とても面白かったです( ≧∀≦)ノも、もしかして血?! (2020年7月11日 20時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
緋月。緋月の館(プロフ) - 夢主にめちゃくちゃ共感する… 私も長女で、しかもすぐ風邪ひいたり病弱で…w (2020年7月11日 20時) (レス) id: e8a2d305fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茶々 x他1人 | 作成日時:2020年7月8日 7時