竈門家長女は出来損ない 【鬼滅の刃】

零ノ型 ページ1

【炭治郎サイド】


Aは昔から、とても身体が弱かった。


季節の変わり目には必ず風邪をひき、酷い時には吐血する事さえあった。


だから＿＿＿＿


「A、無理はしないでくれ。」


家事や炊事、洗濯などはあまりやらせたくなかった。


Aは優しすぎて自分の事はそっちのけだ。


母さんや俺、妹や弟達にはいつも明るい笑顔を見せてる。


＿＿＿＿けど、俺は知ってる。


「…か、ふっ……おぇ…」


本当は誰よりもつらいという事を。


「A…っ！平気か！？つらいなら医者に…」


「いいから。平気なの、いつもの事じゃない。…それよりも炭治郎、下の子達にたくさん食べさせてあげたいんだあ。禰豆子の着物も買ってあげなきゃだし…だから本当に私はへっちゃら！」


精一杯の笑顔で力こぶしを作るA。


でも、匂いは、


つらくて、つらくて、つらくて、


堪らないっていう匂いがしてるんだ。


その中にでさえ他人想いな『優しさ』の匂いがして、俺の胸を締め付ける。


「そうか、Aはいつも元気でいいな！」


だから俺は精一杯の嘘を吐く。


せめて、少しでも楽になって欲しいから。


身体的にも、精神的にも。


俺に出来る事を。

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