七話 悪夢と兄貴 ページ10
・
＿＿＿！＿＿＿＿＿！！！
「…ぅ……っあ」
＿＿＿＿お前が＿＿良かったのに！
「…めんなさい」
私が居なければ、よかったのに。
生まれてこなければ。
姉さんも、母様も、憎き父様も
みんな仲良く暮らせたかもしれないのに。
ーーーーー
「太刀川ァ」
いつものように勝手に屋敷に入るが太刀川はいない
留守らしい
Aも太刀川について行ったのだろうかと思ったが太刀川の部屋の襖を開けると眠っていた
「…めんなさい…ごめ」
Aは苦しそうにうわ言を呟きながら泣いている
誰かに謝っているようで
へらへらと太刀川の在り方を真似た普段のこいつらしくない
「…なに、泣いてんだァ」
苦しそうに、赤子が助けを乞うて泣く時のような固く握られた手を解き、自分の手を握らせる
「姉、さん……？」
姉さん、と小さく呟いた後、また静かに寝始めた
「普段もこんだけ可愛けりゃなァ…」
無造作に広がる白髪
あどけなさは残るが太刀川と同じく整った顔立ち
＿＿＿太刀川が連れてきた唯一無二の継子
他人と深く関わりたがらない太刀川がガキを育てるなんてあり得ないとすら思っていたのに
正直意外だった。
《こいつ、俺が育てるわ。なんか俺の傍離れたくなさそうだしな》
初めて会った時のAは常に何かに怯えていた
光を映さなくなった目、人形みたいな奴
それが第一印象
しかし時が経つにつれAは太刀川を真似た言動・行動が目立つようになった
心の底から笑えていない笑顔
軽薄を装う声色
他人と一線を引くような態度
太刀川の全てを似せようとするAが全てを失った、彼女なりの答えなんだと
そう、理解した
「何があったんだよォ」
Aに一度、聞いたことがある
幼い身に起こった壮絶すぎる、過去を。
《どォしてそんな、太刀川に似せてる？気味悪ィ》
まだ尖ってた頃の俺はそう言い放った
《あなたには分からないでしょうね。》
Aはさしてなんの感慨もなく胡散くさい笑顔で袖にされた
《あァ？》
《私はあなたが羨ましい。恨む、相手がいるのだから。》
《は？何言って…》
激昂する俺にAは衝撃の一言を発した
《私、いっぱい人を殺してたんです。》
《…ふざけた返答しやがッ》
《姉も、兄も、母も、父も》
《本当ですよ？＿＿＿ほら》
周囲の空気が一気に張り詰めるのを感じた
耳鳴りがひどくうるさい
得体の知れない悪寒が背中をなぞり見えない何かを肌で感じた
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KAGRA(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2022年4月23日 1時) (
レス) @page11 id: 254265f49a (このIDを非表示/違反報告)
琥珀恋歌(プロフ) - すごく面白いです！更新はもうなさらないのでしょうか？ (2021年5月23日 23時) (レス) id: 7cd883aad7 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年8月8日 18時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - え、面白すぎて家族の前でにやけてしまった！コレからも無理せず頑張ってください！応援してます！ (2020年7月20日 21時) (レス) id: d57c63684a (このIDを非表示/違反報告)
セラヲタなごちん - いやぁ…良いですね…！もう、こういうヤツだーーーい好きです！面白いの極みですね！頑張ってください！ (2020年7月5日 11時) (レス) id: bd53d4e57a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茶々 x他1人 | 作成日時：2020年6月20日 15時
