壱ノ型 ページ2
「…んだよ、この規格外の化け物が。」
俺＿＿＿玲瓏Aは舌を鳴らした。
「女みたいに綺麗な顔だねえ。私が喰うに相応しいわよ、貴方が私に喰われた時こそ価値が生まれるの！」
「どーゆう価値観してるんすか？芸術を履き違えてません？」
「さぁて、調子に乗ってられるのもここまでよ。」
下肢が牛…のような妖怪・
俺はクナイと短刀を握りながら最大限の警戒をする。
「…はあ、なんで里抜け出してすぐにお前みてぇな気色悪ぃ半牛半人と会うんだよ…不運すぎだろ俺。」
白い雪に染みを作るようにして出来る赤色のまだら模様が悲惨さを語った。
「ふふっ、ふふふふふっ！！いいわあ、その顔！絶望に綺麗な顔を歪めるだけ歪めて見ながら喰べる…なんて素敵なの！しかも稀血よ、稀血！！」
愉悦に顔を歪める女鬼。
もはや、狂気の域に達しているだろう。
「稀血稀血ってうるせーんだよ。巫山戯んなよ…って言いたい所だが、俺も他人の事言えねーなァ……実際されてみる側になるとこんなに面倒臭ぇモンなのかよ。」
ヒュンッ、と空を切る音と共に女鬼の心臓部分らしき所へ刃を突き立てる。
「……ア゛ア゛ァ」
悲鳴も束の間、瞬く間に再生した。
「生物の原理超越してんじゃね？これでも死なないとか面倒すぎ。」
「そろそろ死のうねぇ！」
振り上げられた腕が異常なまでの速度で振り下ろされ間一髪でかわす。
しかし……＿＿＿＿＿
別方向…死角からきた攻撃に、対応出来なかった。
突然、世界がゆっくりに感じられた
記憶が蘇り、様々な場面が脳内を駆け巡る。
初めて人を刺した時、
それに慣れて心を閉じて冷酷に任務をこなした日々、
家族が死んでくのに一滴も溢れない涙
あーあァ、これが走馬灯ってヤツか…
幼い頃からクソ親父は厳しい訓練を俺達に強いた。
なんかに取り憑かれたように。
命は賭けて当然、全てのことはできて当然
矛盾や葛藤を抱える者は愚かな弱者
そんな環境だったから。
「地獄かな…こりゃあ……」
俺はその忌まわしい過去を脳裏へ追いやり、そっと目を閉じた、瞬間だった。
「＿＿＿＿＿平気か！？」
輝石の額当てをつけた、クソ派手野郎に出逢ったのは
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作者名：茶々 | 作成日時：2020年7月12日 12時
