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【義勇視点】


ここか…?


そこは山奥の閑散とした場所にあった。


神聖さすら感じる。


「ココダ、義勇」


勘三郎が飛びながら言った。


鬼の気配は無く、すでに逃げた後かと思った。


とりあえず家屋の中へ入ると…


「誰?」


まだ年端も行かぬ少女が透き通るような短刀を持って血塗れになりながら佇んでいる。


「鬼…は…」


見渡すと三人程の死体が転がっていた。


口の隙間から見える特徴的な牙、鬼だ。


「鬼狩りさん、遅かったわね。私の家族は殺した。『鬼』って本当に存在するってびっくりしたわ。」


少女は意に介さないように無感動に告げた。


鬼になった家族を自らの手で殺した、と理解するのにしばらく時間がかかった。


「お前が殺したのか…?」


少女はコクン、と頷いて短刀を鞘に納めた。


「私は天宮時雨。あなたは?」


「冨岡義勇。」


「ねぇ、ばば様が言ってた『鬼狩り』はあなたのことでしょう?私をそれに入れて欲しいの。」


澄んだ青い瞳が真摯に俺を見据えた。


「…一つ、聞きたいことがある。何故、家族が死んだのに普通な顔をしていられる?」


あぁ、と天宮は小さく呟く。


「鬼は私の家族ではなくなった。ただ、それだけの話よ。」


もしその言葉が本当なら、かなりの精神力だと頭の隅で思った。


驚きを通り越してもはや、妙な落ち着きさえ感じられる。


「分かった、紹介する。」


「父と母、姉の埋葬を手伝ってくれる?」


「あぁ。」


それきり、天宮は一言も発しなかった。


無表情に無感動に冷静に。


埋葬が終わり、天宮は荷物をまとめ出す。


そうして先生の元へと旅立っていった。

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作者名:茶々 | 作成日時:2020年5月25日 22時

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