朱砂色の一報 ページ9
「ほんっと、可愛い奴だAは」
「アホ、惚気んじゃねェよい」
イゾウの言葉に溜息が出る。
シスコンしかいねェのかこの船には。
…おれが言えたことじゃねェか。
カラン、とサッチがイゾウの好きないつもの茶を出して、
それを飲みながらイゾウが言った。
「あの絵はワノ国の、」
いや、正確には、言いかけた。
その時途中で食堂に転がり込んできた奴がいたからだ。
「った、っ隊長…！誰か隊長はいねェか！！」
ガタァン！と音を立てて、床に倒れこんだそいつ。
食堂にはもうすでに大人数が集まってやがったから、全員がざわっと注目した。
体が勝手に反応して席を立ってそいつに歩み寄る。
「どうしたよい？」
「ま、マルコ隊長…！それが…！たった今電伝虫が入って、」
「あァ」
「ジンベエと、あの“火拳”ってルーキー、もう５日も勝負がつかねェって…！！」
途端に食堂がどよめいた。
眉にしわが寄る。
ジンベエがオヤジとの直接対決の前に自分を通せを申し出たのは記憶に新しい。
「５日だァ…！？あのジンベエにか！？」
「しかもあのルーキー確かメラメラの実だったろう？」
「魚人相手に張り合うたァ、なかなか腕がありそうじゃねェか！」
はやし立てる声や、わめく声まで出てきた中で、言った。
「だがもうこれ以上やるとジンベエの方も危ないねい…」
「そ、そうなんだ、もうどっちも立つこともやっとって状態で…！」
「おれがオヤジに言ってくるよい、判断はオヤジに任せるよい」
「へ、へいっ！」
瞬間、がっと肩に誰かの腕が回った。
見なくてもわかる、サッチだ。
「安心しろって！ジンベエもナースに任せときゃ、大丈夫さ！報告お疲れ！」
「サッチ隊長、」
「なに白ひげ海賊団が情けねェ顔してやがる！おれのメシ食って調子直せ！」
そいつはまた情けねェ顔で返事をしたが、後ろからやってきた仲間たちに
引っ張られていった、心配ねェだろう。だが、
…
「気になるか？」
廊下を歩きながらサッチに問われる。
「何がだよい？」
「あのせっかちのルーキーくんよ」
「さァねい…まァ気になるとすりゃァ」
「ん？」
「Aがそのルーキーの手配書見て、“父さんが絶対連れてくる”って言ったんだよい」
「へェ！あんなとげとげした奴を？」
「そうなったら、いったいどうなるかねい…」
話ながら歩いてると、いつの間にか船長室の前につく。
先を思いやりながら大きな扉をガチャ、と音を立てて開いた。
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Kanae(プロフ) - 珠莉さん» 書き方や自分のお気に入りの言葉回しに注目して頂けたり、共鳴してくださった時が1番嬉しいです.......ありがとうございます。またゆるゆると戻ってきましたので、是非今後もゆっくりとよろしくお願いします (2020年1月30日 3時) (
レス) id: 5290a66d68 (このIDを非表示/違反報告)
Kanae(プロフ) - ヴィジリアさん» わああ嬉しいです、此度の作品は何十年かかるんだと本気で懸念しつつマイペースに書いていきます.......（笑） (2020年1月30日 3時) (レス) id: 5290a66d68 (このIDを非表示/違反報告)
Kanae(プロフ) - いささん» お待たせしすぎてしまい、申し訳ない思いを通り過ぎもはや自分に対する呆れの感情でいっぱいです、（笑）気付いたら2年が経ってしまっていました.......。またゆっくり更新し始めると思.......願います！ (2020年1月30日 3時) (レス) id: 5290a66d68 (このIDを非表示/違反報告)
珠莉(プロフ) - Kamaeさんの言葉の持っていき方、表し方がほんとに好きで前作何周もしてます！！今作もすごく物語に引き込まれます…！！大好きです！続きいつまでも待ってます！無理せず頑張ってください！！！！ (2018年7月26日 11時) (レス) id: bd338d9f04 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィジリア(プロフ) - 前作から引き続き読んでいる者です！今回のお話もとても面白いです。更新、待っていますね！ (2018年6月23日 18時) (レス) id: 93a99db6fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kanae | 作成日時：2017年6月25日 11時
