浅梔子色の兄心 ページ8
「いやはや、もうあんなに囲まれちまったか」
「しょうがねェよい。久々の大作だ」
「リーゼントセットのついでに見にいってきたが、いやァ、」
「…」
カウンターに戻ってきたサッチはいつも通りのリーゼントで。
Aに叱咤してた時はストレートだったから、まァ、
無理矢理起こされてかつ、あいつが徹夜したか何だかだったんだろう。
サッチは顎に手をやって、あっちの方にいるAを見つめながら言った。
「あいつはすげェよ、ほんとに」
「…あァ、そうだねい」
「オヤジにもはやく見せねェとな！」
にかっと笑ったサッチに同意の意をこめて、コーヒーをすすった。
オヤジはAと、Aのアレを溺愛してる。
サッチが愛しさのこもった目で、Aを見やって言った。
「まったく、自慢の妹だよ…我が家の“絵描き”さんは」
アレ…つまり、Aの描く絵のことだ。
「こないだ部屋の全面、Aに直接絵描かせたのは驚いたよい」
「ハハ！ちげェねェ！海の絵だろ？」
「“部屋にいる方が良い海が見れる”なんて言ってしばらく部屋から出なかったからねい…」
「ナースに無理やり引っ張りだされてたからなァ、まァそれもナースたちがAの絵をじっくり見たくてって理由で部屋から追い出したらしいけどな！」
「んなことだろうと思ったよい」
Aは…白ひげ海賊団、唯一のナース以外の女船員だ。
おれやサッチに劣らねェぐらいの古株で、長らくここにいる。
戦闘はできねェ。
「まァ、完成はこっちからしたら“一瞬”だけどよ」
無敵って言える能力を持ってるが、本人はそれを、戦闘時に使うことを
『…ほんとに、ほんとに嫌…、！』
心底嫌がってるが。
まァ…
(おれらが守り抜けばいい)
「今日は部屋で寝かしてやれよい。あいつのことだからほっといたら外でまた寝るだろ」
「相変わらず面倒見のいい兄ちゃんだこって。まァおれもそう思ってたけどよ」
「あいつの力は、あいつの寿命を削ってる」
「…」
サッチが何も言わなくなったその時、おれの隣にどかっと新しい男が座った。
「イゾウじゃねェか！今週のラッキーマンだぜお前は！」
そこには頬杖をついて、まだ朝だからなのか髪を下げたイゾウいた。
片足を膝にのせて満足気に笑ってやがる。
気づけばAはもう食堂から出ようとしてる最中で。
首の動きからして眠気が今頃きたんだろう。
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Kanae(プロフ) - 珠莉さん» 書き方や自分のお気に入りの言葉回しに注目して頂けたり、共鳴してくださった時が1番嬉しいです.......ありがとうございます。またゆるゆると戻ってきましたので、是非今後もゆっくりとよろしくお願いします (2020年1月30日 3時) (
レス) id: 5290a66d68 (このIDを非表示/違反報告)
Kanae(プロフ) - ヴィジリアさん» わああ嬉しいです、此度の作品は何十年かかるんだと本気で懸念しつつマイペースに書いていきます.......（笑） (2020年1月30日 3時) (レス) id: 5290a66d68 (このIDを非表示/違反報告)
Kanae(プロフ) - いささん» お待たせしすぎてしまい、申し訳ない思いを通り過ぎもはや自分に対する呆れの感情でいっぱいです、（笑）気付いたら2年が経ってしまっていました.......。またゆっくり更新し始めると思.......願います！ (2020年1月30日 3時) (レス) id: 5290a66d68 (このIDを非表示/違反報告)
珠莉(プロフ) - Kamaeさんの言葉の持っていき方、表し方がほんとに好きで前作何周もしてます！！今作もすごく物語に引き込まれます…！！大好きです！続きいつまでも待ってます！無理せず頑張ってください！！！！ (2018年7月26日 11時) (レス) id: bd338d9f04 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィジリア(プロフ) - 前作から引き続き読んでいる者です！今回のお話もとても面白いです。更新、待っていますね！ (2018年6月23日 18時) (レス) id: 93a99db6fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kanae | 作成日時：2017年6月25日 11時
