淡藤色の着物 ページ7
「A、見たぞ、ありがとな」
ぽん、と頭の上に誰かの手が乗った。
顔をあげるとそこには、
「イゾウ…！」
「イゾウ隊長！おはようございます！」
「Aはまたすげェの作りやがった！」
「おれらはラッキー者だったぜ！」
まだ起き抜けなのか、髪をほどいたままのイゾウが立ってて。
もうその色気だけで頭がくらくらしそうなのに、頭にはまだ手が乗ったままで、
「きれいだった」
真っ赤な唇を塗ったそれが弧を描いて、自分のほっぺが熱くなるのがわかった。
「あ、ありがとう…！」
「はは、顔、赤ェぞ」
「うー、」
ゴン、とまた机に突っ伏す。
「ギャハハ！Aは相変わらずイゾウ隊長に弱ェなァ！」
「綺麗なもんに目がねェからな！」
「言わないで…、」
「Aはおれを綺麗だと思ってくれてるのかい？」
「っ〜！わかってるくせに…！」
顔をあげた拍子に、至近距離でイゾウに追い詰められてもう頭が破裂しそうだ。
確信犯だ！許せぬ！これだから普段から女より色っぽい男は…！
「あの絵は桜だろ」
でもその声にはっとまた顔をあげて、今度はあたしからイゾウに詰め寄った。
「！わかった？イゾウ！」
「はは、近ェぞ。人のこと言えたもんじゃねェ。当たり前だろう？むしろ分かってて描いたんじゃねェのか？」
「ううん！結構チャレンジだった！もしかしたらわかんないかもって不安だったんだけど良かった…！桜の絵、イゾウなら分かってくれるかなあって思ってた…！」
「、はァ、ったく、」
あたしの言葉に少し目を見開いたイゾウは、やれやれってふうに
あたしの頭をくしゃ、と撫でた。
それを見てる周りの、
「ありゃ完全にイゾウ隊長やられてるな」
「Aのあれは天然だからな…」
「相変わらずの威力だぜ、純粋無垢な言葉たァこんなに罪深い…！」
小さな声に全然気づけなかったけど。
そのあとも少しだけイゾウと話をしてたけど、おなかいっぱいになった途端に
急激な眠気に襲われた。
こくり、と首を振ったが最後、みんなにやっぱりなというふうに笑われた。
寝とけ寝とけ！というみんなの声に甘えてあたしは一足先に食堂を出ることにした。
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Kanae(プロフ) - 珠莉さん» 書き方や自分のお気に入りの言葉回しに注目して頂けたり、共鳴してくださった時が1番嬉しいです.......ありがとうございます。またゆるゆると戻ってきましたので、是非今後もゆっくりとよろしくお願いします (2020年1月30日 3時) (
レス) id: 5290a66d68 (このIDを非表示/違反報告)
Kanae(プロフ) - ヴィジリアさん» わああ嬉しいです、此度の作品は何十年かかるんだと本気で懸念しつつマイペースに書いていきます.......（笑） (2020年1月30日 3時) (レス) id: 5290a66d68 (このIDを非表示/違反報告)
Kanae(プロフ) - いささん» お待たせしすぎてしまい、申し訳ない思いを通り過ぎもはや自分に対する呆れの感情でいっぱいです、（笑）気付いたら2年が経ってしまっていました.......。またゆっくり更新し始めると思.......願います！ (2020年1月30日 3時) (レス) id: 5290a66d68 (このIDを非表示/違反報告)
珠莉(プロフ) - Kamaeさんの言葉の持っていき方、表し方がほんとに好きで前作何周もしてます！！今作もすごく物語に引き込まれます…！！大好きです！続きいつまでも待ってます！無理せず頑張ってください！！！！ (2018年7月26日 11時) (レス) id: bd338d9f04 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィジリア(プロフ) - 前作から引き続き読んでいる者です！今回のお話もとても面白いです。更新、待っていますね！ (2018年6月23日 18時) (レス) id: 93a99db6fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kanae | 作成日時：2017年6月25日 11時
