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海青 ページ6

* 樹 10才 *





「 おまえは弱虫だから一緒に遊んでやんない! 」

「 かいせ? 」

「 それに泣き虫だし、そんなんじゃおっきくなっても強くなれないぞ! 」




海青はよくコイツに八つ当たりする


理由は単純


稽古がうまくいかなかった


誰かに叱られた


そして、一番の理由は・・・




「 いっつもヒロさんたちに贔屓されて、俺は許さないからな! 」

「 ち、ちが・・もん 」




コイツに対する先輩たちの猫っ可愛がり


でもそれは仕方がない


ここで一番年下だし、体も小さくて病気がち


おどおどして自分に自信がないから話し方も舌ったらず


こういうの小動物っぽいっていうんだっけ?


屈強なお兄さんたちの“ 守ってあげたい ”くすぐりまくり


それが海青には依怙贔屓に見えてしまう




「 やめろ 」




しゃくり上げて泣きだしたコイツを俺の後ろに隠す


小さな手に服の端をギュっとつかまれて、


俺の“ 守りたい ”が芽生えてくる




「 あぁ? またお前か、海青 」

「 チビどもが騒いどるって、先輩達に言われて来てみたら・・・ 」




腕組みして海青を睨みつけるLIKIYAさん


ため息交じりに両手を広げる陣さん


リーダー二人の登場にビビる海青


逃げようとしたけどガッツリ首根っこを捕まえられた




「 いっちゃん、その子慰めたって

  俺達、これから海青しめなアカンから 」




『 得意やろ? 』ってウインクされた


『 はい 』ってうなずきコイツを抱き上げた




「 いつき、いつき 」




何度も俺を呼ぶ声が“ 嬉しい ”で心を埋める




「 俺はいつでもゆきや(・・・)の味方だよ 」




ぽんぽん




小さな背中をあやすように鳴らした


俺はお前が特別


あの夜、雪の中で見つけたときから・・・





*

ゆきや→←ヒロさん



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作者名:姫保 | 作成日時:2018年10月20日 0時

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