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side: Hikaru.I
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『ッ、うつ病?』
深澤「病院に行ったわけでもないし、予想にすぎないけど」
『…なんでそう思った?』
深澤「アイツ最近食欲ねえし、1ヶ月もしないうちにめちゃくちゃ痩せちゃったじゃん」
『だからってそうとは、』
深澤「宮近から聞いたんだよ、Aの様子」
信じたくない現実を押し付けるような視線に耐えられず、下を向く。俺が反論を諦めたのを感じたのかふっかはまた、一言一言、話し始めた。
深澤「最近、仕事にもレッスンにも行きたくないって言うようになったし、ボーッとしてることも増えたって」
『Aが…?』
深澤「あぁ、家を出たらいつも通り仕事もできるし笑っていられるし上手くやれるけど、帰ってきた瞬間崩れちゃうみたい」
深澤「それに、感情が上手くコントロールできてないみたいだよ」
『どういうことだよ、』
深澤「1人にしないで、って毎日毎晩泣くんだとよ」
おかしい、俺の頭の中で警報が鳴り響いた。Aが仕事に行くことを嫌がる?レッスンに行くことを嫌がる?そんなこと今まで一度だってなかった、たったの一度だってなかったはずだ。確かに、いつもどこか上の空だったり、ボーッとしたりしていることが多くなったことには気づいていた。でも、
『信じらんねえ、』
深澤「俺もだよ、仕事人間で自分のことより俺たちのことばっか考えちゃうAが、仕事に行きたくないなんてさ」
『俺たちが長い間、アイツを1人にしたから…?』
深澤「大きな原因はお父さんだと思うけど、積もっていたものもあるんだろうな」
『…俺たちはどうすればいいんだよ、』
深澤「…宮近と松倉に頼ることしかできねえよ、アイツ俺らの前じゃ泣けねえんだから」
頭では分かっていたけれど、改めて自分の無力さを突きつけられるとなんとも言えない気持ちになった。悔しさと悲しさ、寂しさ全部が混ざって黒い渦を巻いていた。
深澤「ごめん、上手く言えなくて」
『いや、大丈夫、伝わった』
深澤「俺たち、Aの強がりに甘えすぎてたのかも」
『あぁ、』
深澤「メンバーの1人も守れないなんて、ダメだよなぁ本当」
『…俺たち長い間一緒にいるのにアイツのこと、全然分かってあげられてねえのな、』
『思ってたよりずっと、ずっと遠くにいるんだな、』
目黒の気持ちも、今なら分かるみたいだ
俺たちからは遠く離れたAの隣にいられる宮近と松倉が、すこし羨ましい気もした。
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年上彼氏 - なんか私の状況に似てんなぁ。大切な人が立て続けに私の前から消えていったの。結構つらくて。そのこと思い出しちゃいました。やっぱり人って誰かいないと生きていけないんですよね (2020年6月13日 11時) (レス) id: 865e89e5c1 (このIDを非表示/違反報告)
u(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます(;_;)暑い日が続いていますので、美紀さんもお身体にお気をつけてくださいね (2020年6月12日 14時) (レス) id: 70fcd74544 (このIDを非表示/違反報告)
u(プロフ) - 妃茉莉さん» ありがとうございます嬉しい限りです(;_;)3人は一生一緒なのでご安心を!(笑) (2020年6月12日 14時) (レス) id: 70fcd74544 (このIDを非表示/違反報告)
u(プロフ) - 弓道ちゃん♪さん» 更新大変お待たせしてしまい申し訳ありませんでした(;_;)ありがとうございます嬉しいです^_^ (2020年6月12日 14時) (レス) id: 70fcd74544 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高です更新大変だと思います熱中症とコロナウイルスに気をつけてくださいね (2020年6月11日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:u | 作成日時:2020年5月14日 0時