102【誕生日編・９】 ページ30
.
「A.....決めらンねェかァ？」
吐息が掛かるこの距離で
今まで見た事の無い男の顔をしている実弥さんを目の前にして、私が出した答えは...
「....は、はい。.......喜んで？」
この短時間で私の口から出た答えは
先程の両方の答えが混ざった疑問符が付いたモノとなった。
「喜んで、ねェ......」
『あ、あの......実弥さん....？』
「もういい..........黙っとけェ。」
そう言った実弥さんは
私の頬をひと撫でして、髪をすくい取り
その髪の毛に口を寄せた。
「今までの俺じゃなくなるがイイかァ？」
そう言った実弥さんの顔が近付き
私は身をゆだね、瞳を閉じた。
それなのに.....
一向に来ると思っていた感触が、来ない。
「.......チッ、」
は？
私、舌打ちされた？？？！！！
パチっと目を開いたら私の目の前には
目が血走り、血管が浮き出てきている実弥さんの顔があった。
「.....鬼の気配がする。」
『え、、お、鬼ですか！？』
「A、匂い袋持ってンなァ？」
『あ、はい。持参しています。』
「行ってくる。部屋から出ンなよォ。」
そう言った実弥さんは
素早く着替え、刀を手にして
部屋を出て行こうとしていた。
『実弥さん！お気を付けて！ご武運を！』
「あぁ、切り刻んできてやらァ！」
縁側から出たと思えば
一瞬にして実弥さんの姿は消えていた。
「俺を待たずに寝てろよォ。」
そうは言われたが
先程までの緊張感とで
私も寝られる訳がない。
すぐさま雨戸まで閉め、匂い袋を握りながら藤の香りのお香を焚いた。
『実弥さんが帰還するまで起きてよう..』
この先の命どうなるか分かンねェ俺だァ
そう言った実弥さんの言葉が
改めて身に染みていた.....
実弥さんは強い。
誰よりも、強いんだ....
毎日任務に送り出す時も
この緊張感は、変わらない。
なのに......
何故か......
先程、一瞬でも実弥さんとの未来を
夢見てしまったからだろうか....
消え行く後ろ姿に
行かないで....と.....思ってしまった。
私との、あんな状況でも
鬼の気配を感じとる実弥さん。
己の欲よりも鬼を滅する事に
命を掛ける。
誇らしいのだが、とても
強く生まれた実弥さんの人生は
私が想像出来ない程に多くの重圧と
しがらみを背負っているのだろう...
そう思った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 532人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
京華(プロフ) - 澪凪ちゃんありがと〜〜！！お好みだったのなら嬉しい♡そう。何かがお預けなの!!!笑 その何かが分からないなら一緒に無理でしょ、笑 わ、分かった！いつかね。いつか！そしたら来世でねー!!!(メッセのやり取り再び＆謎の牽制、笑)いつもありがとね♡...感謝ァ！ (2021年12月13日 9時) (
レス) id: e037f818e2 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 京華ちゃん完結おめでと〜〜っ！！最後まで夢主が何か実弥にお預けさせて寝ちゃうお話なのねwww二人らしい絡みでやっぱり好きだわwww いつか私とも書いてね？？(謎の圧) 次も待ってまーーす！！ あ、フラグは読んじゃいけないんだよ私！！お預けかこの… (2021年12月12日 23時) (レス) @page49 id: bf563a2326 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 衣世さん» 風柱様とのご結婚おめでとうございます♡笑 義勇さん...やはり実弥との相性は...笑 ピラニア実弥...もし続きを執筆する事があれば旅館の続きになると思います(ネタバレ)読んでも年内で記憶から抹消して下さいね？笑 衣世さんと再び出逢えた事全てに...感謝ァ♡ (2021年12月12日 10時) (レス) id: e037f818e2 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 柚葉さん» 簡潔に祝言させて頂きました！笑 いつもありがとうございます♡久々のピラニア実弥...年内頑張って羞恥にまみれます！(白目)...感謝ァ！ (2021年12月12日 10時) (レス) id: e037f818e2 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - あさひゆうひさん» 最後まで圧掛けたり内容とかの相談(主に雑談)いつもありがとう♡この落とし方の話いつしたっけ？笑 やっと完結出来ました！あさひ様も何か書いてね？(激しく圧)待ってるからね♡...感謝ァ！ (2021年12月12日 10時) (レス) id: e037f818e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
