春夏秋冬【ポリス川実弥】

◇冬＿33 ページ34

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「……ふふ、ずっと?」


おォ、とぶっきらぼうな調子で応じてくれる実弥さんが大好きだと、改めて思う。


「何だかもう、会いたくなっちゃいました。実弥さ
　んに」


(ハ、つい昨日まで一緒だったじゃねェかよ)


「……まあ、そうなんですけど」


一緒に暮らしていたって、一人で眠る夜はあるんだから。

慣れてるはずなのにな。


はぁ、と小さく漏らした溜息はしっかり拾われたらしくて、ったく、という呆れたような色と軽い舌打ち。


(可愛いこと言ってンじゃねェわ、無自覚かよォ)


「……だって…」


本音です。

今すぐ実弥さんに、ぎゅってして欲しいって。


(…せっかくの帰省なんだァ、親御さんとゆっくり
　過ごしてこい)


「……はーい」


(クク、帰ってきたら覚悟しとけや)


何の覚悟ですか、は愚問だろうかと躊躇した私に、実弥さんはまた、クツクツと笑ったのだった。









「気をつけてね! はいこれ実弥さんに」


満面の笑みの母に押し付けられた紙袋はズシリと重くて、もらっといて何だけど眉間にシワが寄った。


「こっちのお酒とー、お菓子とー、えーと後は何入
　れたっけ」


「あ、うん。とにかくありがとう」


再び紙袋をガサガサといじろうとする母を軽く制してから、父へと向き直る。


「お父さん、またね」


「ああ、また帰ってこい。予定が合うなら、実弥く
　んも一緒に」


「………うん、わかった」


地元の駅まで送ってくれた両親に、ありがとうと笑って手を振り、改札をくぐった。


途中振り返ると、そこにまだ二人は居て。

それを見たら何だかまた、喉の奥がじんわりと熱くなってしまった。









そんな少しせつない感傷と共に電車を乗り継ぎ、辿り着いた今の地元。


今日は非番だから駅まで迎えに行く、と連絡をくれていた実弥さんの綺麗な銀の髪が、まだお正月休みの人混みの中に見えた。


さっきまでの感傷は簡単に吹き飛び、両手の重い荷物もなんのその、とブンブン手を振る。


「お帰りィ」


「ただいま帰りました! 改めて明けましておめでと
　うございます、実弥さん」


すぐさま私の両手から荷物を奪った実弥さんも、おめでとォ、と大きな瞳を細めた。


「ふは、随分重てェなァ」


「何か帰りに色々持たされちゃって。あ、実弥さん
　にお土産もあります!」


そら楽しみだ、と笑ってから、実弥さんは左手を差し出す。


ごく自然なその動作にこっそりニヤけてから、私もそこへと右手を絡めた。



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