春夏秋冬【ポリス川実弥】

◆秋＿26 ページ27

・




売店へ行き、去年と同じようにスポーツドリンクとソフトクリームを頼んだ私達。


大した味の違いはないが、
遊園地で食べるソフトクリームは美味しく感じるので、遊園地に来ると毎回買ってしまう。



『ん！ 美味しいー』

「Aは、旨そうに食うよなァ」

『よく言われます！実弥さんも食べます？」



はい、あーん、とスプーンで掬ったソフトクリームを差し出すと「…お前はァ…」と実弥さんは大きな手で顔を覆った。


なんか…デジャブ。
去年もこんな会話をして、結局実弥さんは食べなかったもんな、、


そして、その後…







.







「…ふはっ…ついてンぞォ」

「……っ、」







.







私の鼻についたソフトクリームを指で掬い、
それをそのまま……


なんて、事もあったな…。


付き合ってもいないのに…実弥さんってば…



そんな事を考えながら、
再びソフトクリームを口に運ぼうとすると、
手首を掴まれ、そのまま実弥さんの口元へ持っていかされた。



ガブッと食べられてしまったソフトクリーム。
もう半分も残っていない。



『ひ、一口…』

「ちんたら食ってたら溶けンだろうがァ」



甘ェー、と口先についたソフトクリームを親指で拭う実弥さん。



何だかその仕草が妙に色っぽく見えて、思わず見入ってしまった。



「綺麗に食えよォ？また鼻につけてやがったら今度は直接食っちまうからなァ…？」



ニヤリと笑いそんな事を言うものだから、私は慌てて鼻を隠した。



なんて破壊力だ…
ソフトクリームなんかより、実弥さんの方がよっぽど甘い…っ！








.








その後、
絶叫系は一度お休みし、他の乗り物を回った。


園内を乗り物でグルリと一周したり、コーヒーカップを調子に乗って回しすぎたり、お化け屋敷…の前だけは無言で早足に通り過ぎたりと、

完全制覇(お化け屋敷以外)に向けて次々と乗り物を制覇していった。


その中には、
去年散々笑わせて頂いたメリーゴーランドもある。


にんまりと笑う私に実弥さんは明白に嫌な顔をした。



「乗らねぇからなァ…」

『まだ何も言ってませんよ！』



嫌がる実弥さんに駄々を捏ね、悲願したものの、
今回は、実弥さんもなかなか首を縦に振らなかった。



『では、ジャンケンで！負けた方が一人で乗りましょう！』

「あ？」









『いきますよ…！最初は…「ジャンケン…」』




.

◆秋＿27→←◆秋＿25

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す