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一通り洗い終えた私は杏寿郎さんから少し離れて湯船に浸かり、不満気な杏寿郎さんから話を反らすように『ここの温泉は湯がトロトロで気持ち良いですね〜』と肌に馴染ませ言ってみる。
気持ち良いのは本当で、乳白色の湯は肌に染み込むように滑らかで、療養する杏寿郎さんに湯の効能までピッタリな場所を紹介してくれた宇髄様には感謝だ。
「宇髄は温泉巡りが趣味なだけあるな。流石だ!今度は父上達も誘おう!」
『帰りにお土産も沢山買いましょうね』
温泉から立ち上がる濛々とした湯気が夜空に消えていくのを眺めながら杏寿郎さんと二人、幸せな溜め息が何度となく出てくる。
綺麗な月と星を恋仲の相手と湯に浸かりながら、普通ならばただの幸せな状況なのだが杏寿郎さんは傷の療養中だ。
私達が普通と違う事といえば、その傷が鬼と激戦の上に出来た傷という事と温泉に浸かっていてもその傍らには日輪刀が常に備えられているという事だろうか....
療養中とはいえ今は夜。
今日も何処かで鬼殺隊は刀をふるっているのだろう。それが私達の日常なんだ...
「Aとは初めての遠出だな.....」
湯を肩に掛けながら夜空を見上げ話し掛けてくる杏寿郎さんは髪も濡れて水滴が滴り落ち、湯気と共に色気まで昇り上がっているようで、見ているこちらは目のやり場に困る.....
『杏寿郎さんは任務がありますから。
...........仕方の無い事ですよ。』
私も無駄に湯を腕に馴染ませながら
平静を装おう。
「その事なんだが、A......」
夜空を見上げていた杏寿郎さんが
こちらへ向き直り緋色の瞳に見詰められ
私は思わず息を飲んでしまう。
「俺が炎柱で無くなってしまったら
...................Aは嫌か?」
『.............えっ?』
遠くに聞こえる
ししおどしの音がやけに耳に響く。
『杏寿郎さんが....炎柱を.....?』
「うむ。炎柱の職務を...
...............退く事を考えている。」
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京華(プロフ) - あさひゆうひさん» 寝てください。 (2021年6月25日 14時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - コメント失礼致します!笑いあり、切なさありのとても心暖まる作品でした…!お色気むんむん大人の煉獄さん!思わず悶て次のページが開くことができませんでした!眠いです。 (2021年6月25日 14時) (レス) id: 2af9c629e7 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - さくらさん» ありがとうございますー!感動....出来たんですか(驚)少しでも笑って頂けていたのなら良かったです♪嬉しいお言葉ありがとうございます!私はさくらさん愛してますー!笑 感謝ァ! (2021年5月6日 17時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 京華さん、完結おめでとうございます(^-^)煉獄さんがさつま芋を焼きながら心を燃やせと言ってる場面が好きです(^-^)クスリと笑えて、感動もできて...京華さんのお話が好きだー! (2021年5月6日 14時) (レス) id: beec18da26 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございますー!完結できましたぁ!話を聞かない煉獄家に私も嫁ぎたいです♪感謝ァ! (2021年5月6日 14時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
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