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朝方早くに目を覚まし、居間で一人茶を啜っていた私は杏寿郎さんの鴉に側頭部をど突かれて意識が覚醒する。
「杏寿郎重症タダチニ蝶屋敷へ向カエ」
今まで聞いたことの無かった鴉の報告に頭が真っ白になり飲んでいた湯呑みが手から滑り落ちた。
杏寿郎さんが重症?
今までの鴉からの報告は「今カラ帰ルッテ〜」と杏寿郎さんの帰還を教えてくれるものだったので重症という言葉に意識が飛んでしまっていた。
私の肩に乗り、未だど突いてくる鴉も気にせず私は立ち上がり蝶屋敷へと全力で走った。
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「煉獄さんはお二方共に重症です。致命傷ではありませんが内臓の損傷が激しく今も意識不明です。___」
慌ただしい蝶屋敷内でアオイちゃんに簡潔に説明を受け、私は杏寿郎さんの部屋へと案内された。
ベッドに横になる血の気の引いた杏寿郎さんの顔を見て、まだ生きている事への安堵と今までに見たことの無い包帯をぐるぐる巻きにされた杏寿郎さんの姿に私は涙が止まらない。
隣のベッドに眠る槇寿郎さんも、杏寿郎さん程ではないが包帯でぐるぐる巻きにされて眠っている。
こんな重症を負う任務になるなんて....
そう思っていれば
千寿郎君も部屋へ駆け込んできた。
「父上!!兄上!!」
二人の状態を見て動揺する千寿郎君を落ち着かせようとしていれば
「落ち着け千寿郎。」
槇寿郎さんが目を覚ましたらしく
千寿郎君と私は慌てて槇寿郎さんの元へと駆け寄る。
良かった!良かった!と涙を流す千寿郎君に「そう泣くな。俺は大丈夫だ」と槇寿郎さんは千寿郎君の頭を撫でてあげていた。
「杏寿郎は無事か?」
槇寿郎さんが眉を寄せて口にする言葉に
まだ意識不明な事を伝えれば、無限列車での死闘の事を話してくれた。
「まさか上弦が来るとはな.....」
炎柱と元炎柱の二人が上弦を追い詰めるも朝日が昇り始め、上弦が杏寿郎さんに突き刺そうとした手は寸の所で槇寿郎さんが切り落とす事が出来たらしい.....
槇寿郎さんが同行してくれて良かった..
涙ながらに泣きつく私達に「痛い!抱き付くな!」と槇寿郎さんがもがき出した所でアオイちゃんが部屋を訪れて、目を覚ました槇寿郎さんの状態を確認してくれていた。
「元炎柱様は目覚めれば三日もせずに退院出来るだろうと胡蝶様は言われておりました。あとは炎柱様ですね。」
未だ眠る杏寿郎さんの手に私は手を添えて祈る事しか出来なかった。
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京華(プロフ) - あさひゆうひさん» 寝てください。 (2021年6月25日 14時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - コメント失礼致します!笑いあり、切なさありのとても心暖まる作品でした…!お色気むんむん大人の煉獄さん!思わず悶て次のページが開くことができませんでした!眠いです。 (2021年6月25日 14時) (レス) id: 2af9c629e7 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - さくらさん» ありがとうございますー!感動....出来たんですか(驚)少しでも笑って頂けていたのなら良かったです♪嬉しいお言葉ありがとうございます!私はさくらさん愛してますー!笑 感謝ァ! (2021年5月6日 17時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 京華さん、完結おめでとうございます(^-^)煉獄さんがさつま芋を焼きながら心を燃やせと言ってる場面が好きです(^-^)クスリと笑えて、感動もできて...京華さんのお話が好きだー! (2021年5月6日 14時) (レス) id: beec18da26 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございますー!完結できましたぁ!話を聞かない煉獄家に私も嫁ぎたいです♪感謝ァ! (2021年5月6日 14時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
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