言わせたい【不死川実弥＋】

嫉妬【宇髄】ひよ ページ35

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宇髄天元なんて嫌いだ。


その背はムダに高く、鍛え上げられた筋肉達に飾られた身体。


それに乗っかる顔は、誰が見たって文句なしの美形で。


おまけに話をさせれば、豊富な話題で、相手を楽しませるサービス精神。


もちろん鬼殺隊の柱としても、実力は申し分もなく。


自身を崇める、それはそれは美しい奥様が、３人もいる。


彼はその何もかもを、手に入れているように見えた。


だから私は、宇髄天元なんて嫌いだ。


……大っ嫌いだ。









(……またやってる)


本部への任務報告を終え、産屋敷邸から数歩出たところで、見たくもないものを目にした。


同じく報告でもあったのか、すぐそこには例のド派手な色男と、彼を取り巻く数人の女隊士。


彼女らに囲まれて調子良く話続ける宇髄に、自然と眉がキツく寄る。


殺気でも発していたのだろうか、宇髄と不意に視線がかちあい、条件反射で目を逸らした。


とはいえ、その前を通らないと帰れないのだけども。


「……お疲れ様」


「鳴柱さま! お疲れ様です」


「おーう、待ってたんだぜ鳴柱? お前も本部来
　るって聞いてよ」


「何か用?」


相変わらずツレねえなー、と私の頭を撫でようとする大きな手のひらから、思いきり逃げてやる。


「一緒にメシでも、と思って?」


「…お腹あんまり空いてないし、帰ってから食べ
　るわ」


じゃあね、と足早に去る私を、今日の宇髄は追いかけることにしたようだ。


「お前らワリイ、またな!」


「えー音柱さま、行かれてしまうんですか?」


ざんねーん、と甘ったるい声を上げる女子達に、片目でもつぶってみせたのだろうか。


背中越しに上がった歓声に、私の眉はまた一層、寄ってしまったのだった。









「…何でついてきたの」


「んー? だから一緒にメシ食おうと思ったっ
　て、言っただろ?」


「だから、行かないって言ったでしょ」


「家で食うのも、落ち着いていいよな」


「…自分の家で食べなさいよ」


「そりゃもちろん? でも今は、お前と食いたい
　と思ったからな」


「奥様達、お待ちかねじゃない」


「アイツらは問題ねえ、伝言したし」


屋敷に着いて、鼻先で思いきり閉めてやろうとした戸を、余裕で受け止めた宇髄。

そのまま図々しく、上がりこんできた。


身の回りの世話に通う隠はどうやら、昼食を多めに作ってくれたらしい。


「美味そう」と言って後ろから覗き込む宇髄に根負けして、２人分の膳を、手に取ったのだった。




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