言わせたい【不死川実弥＋】

ﾗｯｷｰｽｹﾍﾞ【伊黒】ひよ ページ26

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今日も今日とて、鬼狩りでした。


「あー疲れたー…」


大嫌いな夜が明け、お疲れの私の両目を、夏の眩しい朝日が刺してくる。

それでも、その明るさは好きだ。


「ただいま帰りました……って、そうだ」


師範はいないんだった。


我が師範、鬼殺隊・蛇柱こと、伊黒小芭内さまは長期遠征中で、明後日ご帰還の予定。


隠の方々も来ていない今、屋敷はいつも以上に静かなのに。


…ついクセで、挨拶をしていた。


(いつもなら)


座敷から顔だけ出して、「おかえり」って。

あの静かで清廉な声が。


どうかご無事で、なんて継子らしく呟いてから、私は湯屋へと向かった。









「ふう、サッパリした!」


サッパリしたけど……いや、暑いな今日。

夏の盛りだし、しょうがないか。


(…お行儀悪いのは、百も承知です…!)


だって、手ぬぐいで拭いたそばから、汗かいちゃいそうなんだもん。


持ってきた浴衣をガン無視して、私は手ぬぐいで前方一部だけを隠しながら、湯屋から出た。

バスタオル?

ンなものありませんよ、この大正時代に。


(うーん、最高!)


蛇柱邸の廊下は、風の通りがとても良くて、真夏でも涼しいのだ。


我が師範は暑さに弱いから、気を遣って建てられた屋敷らしい。


蛇ですもんね。

夏の日差しにネチネチ文句垂れてるの、よく聞きますし。


(溶けちゃいそうだもんなあ)


全体に色素が薄い肌、透き通るように美しい黄色と、青の瞳。


柱の皆様は、それぞれタイプの異なる美形揃いだけど、ウチの師範も負けてない。


まあ御本人に、その自覚はなさそうだけど。


「はー…涼しいわー」


一層強めの風が吹いてきて、私は思わず目を閉じ、そうひとりごちた。


「…っ何をしている……!!」


あ。

おかえりなさいませ、師範。









「全く貴様には、呆れて物も言えん」


「おっしゃってるじゃないですか、すでに小1時
　間は」


足が痺れてるんですよね私、もういい加減。


「申し訳ありません……師範のお帰りは、明
　後日と伺っておりましたので…」


「…オレがいなかったら、お前はあのような…
　その、は、破廉恥な真似をしているのか」


「そんな、人を変態みたいに」


違うのか、って聞き返さないで下さい。

これでもお年頃の乙女なんです。


「あんまり暑くて、ちょっと涼んでから着換え
　るつもりだったんです…」


恥ずかしくて、消え入りそうな声で弁明した私に、師範からは最大級の溜息が漏れた。




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