ダイアローグ ページ1
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話は、少し遡って。
セノたちと会議をする数日前。マラーナの化身を倒すため、ラナを救うため、アランナラたちと東奔西走していたころ。
「ナラアナンタって、どんなやつだ？」
パイモンはアランムフクンダにそう尋ねた。
アランムフクンダの話を聞くに、『ナラアナンタ』は数千年前の人間のようだけど……
「カレはワルカのナラで、金色の目をしている。ワタシたちが見える、千樹の王とワルカの王の
「プリヤタム？」
「寵愛を受けるもの、という意味だ。カレは誰かの心を掴むのが得意だった。アランナラの中にはワルカのナラが全てナラアナンタのように善良だと思い込んで、痛い目を見た者もいた」
砂漠の民なのにアランナラと仲良くしていたのか。
マハールッカデヴァータとキングデシェレトの寵愛を受けた、金色の目の人間。
「けど、アナンタなんて名前のやつ、オイラたち聞いたこともないぞ？」
「カレは自分の名前を嫌がった。だから、ワタシたちはカレを『アナンタ』という名前で呼んだのだ」
ふむ。
「本当は、なんていう名前なの？」
「確か『イティアメネウ』だったはずだ。『君主』とか『征服する』という意味を含むから、ワタシたちがカレに不必要な敬意を抱かないように、その名では呼ばないようにと求めた」
「イティアメネウ！？」
パイモンが驚いて飛び上がる。
その名は、俺たちにとって聞き馴染みのあるものだった。
イティアメネウ。砂漠出身の学者で、金色の目を持つ。
「けど……ナラアナンタは数千年前の人物だろ？」
「そうだ。だが、ナラアナンタはサルバと共にある。サルバは不滅だ。つまり、カレも死ぬことはない」
頭にたくさん疑問符を浮かべたパイモンが、こちらを見てくる。助けを求められても、俺にも意味がわからなかった。
「ナラアナンタは今でも、アランラジャに会いに来てくれる。カレがアランラジャを忘れ、アランラジャがカレを忘れても、カレらはまだ友人だ」
余計にこんがらがってくる。
アランラジャはヴァナラーナから出られないから、ティアが夢のヴァナラーナまで会いに行っているのだろう。
ということは、彼は『大夢のメロディー』を知っていて、アランナラと交流があるのだ。
「ナラ空、パイモン。もしナラアナンタが苦しんでいたら、助けてやってほしい。カレは多くのアランナラと同じように、ワタシにとっても大切な友人なのだ」
アランムフクンダは、そうやって、静かに俺たちに頼んだ。
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作者名：荒矢式 | 作成日時：2022年11月18日 4時
