Episode 009：彼も黒帯を締めていた ページ13
「Aは日本に来るの何年ぶり？」
「そうだね……よく覚えてないけど、数十年ぶりだろうなあ。生まれてこの方、拠点はずっとアメリカなんでね。日本は観光程度に行くぐらいでしかなかったよ」
昼食を済ませた一同は、早速謎の多い新メンバー・Aに質問を浴びせるのであった。
Aは嫌な顔一つせずに淡々と答えていく。
「アメリカ人として育っちゃったもんだから、日本のことはあんまり詳しくないんだよね」
「日本っぽいことをやってこなかったってことか？」
「いや、俺も日本男児なわけだし、一つだけ続けてることはあるよ」
するとAはゆっくりと立ち上がり、真剣な表情になる。
何をするかと思えば、美しくもどこか激しい「型」を披露した。
「空手さ」
そう、Aは空手の黒帯保持者なのである。
「アメリカでやる分だと胡散臭いって思われるかもしれないけど、こっちで空手を広めるために渡米した正真正銘の日本人の空手家に師事していたんだ」
いつものらりくらりとしている彼からは想像もできないほどのキレの良さにびっくりする一同。
「一応、空手の型もサッカーで使えるからね。おかげで体の動きが改善された」
「そんなこともできるんだ！」
「サッカーほどではないが、大会で優勝したこともある。俺の家に来ればトロフィーを見せてあげよう」
目を輝かせる稲森に、自信に満ち溢れた表情を見せるA。
「す、すげぇな夢野……。頼む！今度俺にも教えてくれ！」
「いいよぉ、ただし厳しいからな？……もしかしたら、サッカーよりも」
頼み込む剛陣に対し、Aはイタズラっ子のような表情で答えた。
「サッカーだけじゃなかったのね……」
あの冷静な神門もAの芸の多さに驚いている。
「日本人ならやっておかないと」
「日本人でも全員がやるわけではないと思うが……」
やはり普通の日本人と比べてどこかずれているAであった。
午後の練習時間となった。
早速Aも交えて特訓を始める日本代表メンバー。
Aは器用にフォワード、ミッドフィルダー、ディフェンダー、そしてキーパーと相手を変えて練習に付き合っている。
まるでねこじゃらしを追う猫のように、ボール……とそれを持つAに襲いかかる一同。
何度ボールの奪還に挑戦しても、
「ほら、遅い」
と、あっという間にゴールを決められてしまう。
「また破られた……」
「ええっと、君は……西蔭くん、だっけ？そう落ち込まないでくれよ」
陽気に笑いかけるA。
「1日は長い。まだまだこれからだ！」
Episode 010：こうして1日が過ぎてゆく→←Episode 008：天然タラシ？外国育ちなだけですが？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いづう(プロフ) - ハニートースト 通称，ハニトン！さん» 今見ました！申し訳ありません、なぜか夢野くんのイラストは表示されず見れませんでした…（；＿；）でも琴平くんは見れました！やばいです！かっこいいい！！！まさか琴平も描いて頂けるとは感激です！！ありがとうございました！！ (2018年11月13日 19時) (
レス) id: a4beff7793 (このIDを非表示/違反報告)
ハニートースト 通称,ハニトン！(プロフ) - 描けました！是非っ！！ (2018年11月13日 18時) (レス) id: b6696be840 (このIDを非表示/違反報告)
ハニートースト 通称,ハニトン！(プロフ) - いづうさん» ま、マジですかっ？！お恥ずかしい…では、喜んで描かせていただきますね！ (2018年11月13日 18時) (レス) id: b6696be840 (このIDを非表示/違反報告)
いづう(プロフ) - ハニートースト 通称，ハニトン！さん» ええええ！？本当ですか！？嬉しいです！実は以前ハニトンさんのイラスト集を拝見させて頂いておりまして、上手だなぁ…と密かに思ってたんです！ぜひぜひ描いてください、こちらこそお願いします！ (2018年11月13日 18時) (レス) id: a4beff7793 (このIDを非表示/違反報告)
ハニートースト 通称,ハニトン！(プロフ) - いづうさん» 一応wまたまた質問なのですがいづう様の作品の男主さんを描かせていただいてもよろしいでしょうか…？イケメンすぎてほんと辛いんす！ (2018年11月13日 17時) (レス) id: b6696be840 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
