知らなかったこと ページ18
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季節は巡り巡って12月の中頃。
順調に単位を取っていき、今年の分の単位は取り終わった。
風磨先輩も卒論を完成させ、無事にプレゼンも終わったらしい。
内々定を貰っていた企業からも8月に正式な内定通知があってこの間、内定式に行ってきたと言っていた。
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そういえば、いつの間にか勝利と風磨先輩が仲良くなっていた事には驚いた。
先輩がバイト先に来た時にそういえば勝利がさー、とナチュラルに話し掛けてきたもんだから一瞬違和感に気が付かなかったけれど。
先輩との関係はというと、前と変わらないまま。
学校終わりにファミレスやファストフード店に行ったり、大学のことでお悩み相談したり。
何故か勝利も含めた3人でディズニーランドに行ったりもしたけど、2人きりで休日に出掛けたのは江ノ島が最後だった。
そんな悩みの種の先輩はバイト中の私の前に座っている。
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晴香 「最近よく来るわね、風磨くん」
風磨 「ここ落ち着くし、就活も卒論も終わって暇なんですよー」
晴香 「またここでバイトする?」
風磨 「そうしたいんですけど、今やってるバイト先掛け持ちダメなんです」
晴香 「あら残念」
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今、お客さんは風磨先輩しかいないのでその会話を先輩のおかわり用のコーヒーを淹れながら聞く。
先輩がこのお店でバイトしたら今以上にお客さん来るだろうな。先輩かっこいいもん。
そんな事を考えていると晴香さんが風磨先輩にある事を聞いた。
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晴香 「彼女とかいないの?」
風磨 「急ですね(笑)」
晴香 「だって、気になるじゃない。ね?Aちゃん」
「え?はい」
風磨 「いないっすねー(笑)」
晴香 「好きな人も?」
風磨 「それは……」
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2人に聞こえちゃうんじゃないかってくらい心臓がバクバクしている。
聞きたいような、聞きたくないような。
知りたいような、知りたくないような。
淹れ終わったコーヒーを手に言葉の続きを待った。
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風磨 「好きな人はいますよ」
私の心は跳ね上がった。
そっか、先輩好きな人いるんだ。
晴香 「おー!どんな子?どんな子?」
風磨 「笑顔が可愛くて一緒にいると落ち着くような子です」
晴香 「もし彼女になったら私たちに紹介してね。風磨くんは私たちにとって息子みたいなものなんだから」
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風磨先輩の彼女になる人は幸せだろうな。
先輩の前にコーヒーを差し出す手は少し震えた気がした。
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蒼 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 夜分遅くにいきなりすみません。。。 この物語読んでいて思ったのですが。。。 芸能人(ジャニーズ)ではなくて一般人の設定なんですね。。。 そうならそうで前もって作品紹介の所に書いていて欲しかったです。。。 (2023年2月14日 2時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛那花 | 作成日時:2022年9月30日 21時