カウンター席の常連さん ページ1
.
大学1年。5月。
高校から始めたここのバイトも今年で3年目になった。
40代のご夫婦が営んでいる古民家カフェで働き始めたきっかけは
元々働いていた友達に誘われたから。
その友達は就職志望で内定を貰っていたので高校卒業と同時に辞めてしまった。
.
受験真っ只中だった期間は休みにしてくれていたのでこのお店とご夫婦には感謝しかない。
色々と懇意にしてもらって大学生になった今でも働かせてもらっている。
.
カランコロン、と来店を知らせるドアのベルが鳴る。
「いらっしゃいませー」
その人はL字型カウンター席の入口から見て1番奥の席に座った。
金髪になった常連さんだ。
.
晴香 「あら風磨くん。いらっしゃい」
風磨 「どうも」
店主である悟さんは基本的に厨房に立っているので奥さんである晴香さんが出迎えた。
晴香 「また金髪に染めたのね」
風磨 「そうなんですよ。似合ってます?」
晴香 「似合ってるわよ」
.
常連客の風磨さん。
高校生の頃ここで働いていたらしく、今でもお店によく来るそうだ。
接客でコーヒーを持っていったりする程度で長く話したり深く関わった事はないが
派手な見た目とは裏腹に凄く温かい人なんだろうなと晴香さんと話している様子を見て思っている。
.
風磨 「実は晴香さんにご報告があって」
晴香 「ん?」
風磨 「前に面接受けた企業から内々定貰いました」
晴香 「えー!おめでとう!何かお祝いしなくちゃじゃない!」
風磨 「いやいいっすよそんな」
.
照れがちに鼻を触って言う風磨さんに遠慮しなくていいから、と制止する晴香さん。
お父さんにも伝えてくる、とそのまま厨房へ行ってしまった。
平日の昼過ぎの店内にお客さんは風磨さんひとり。
さっきまでいたお客さんのテーブルを片付けながらその話を聞いていた私は
テーブルを拭き終わった後、思い切って風磨さんに話しかけてみた。
.
「あの、おめでとうございます」
話しかけられて一瞬驚いた顔をした風磨さんだったけれど
すぐに言葉の意味を理解してありがとう、と言ってくれた。
.
116人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 夜分遅くにいきなりすみません。。。 この物語読んでいて思ったのですが。。。 芸能人(ジャニーズ)ではなくて一般人の設定なんですね。。。 そうならそうで前もって作品紹介の所に書いていて欲しかったです。。。 (2023年2月14日 2時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:愛那花 | 作成日時:2022年9月30日 21時