33.酒場 ページ35
「よぉ、ダンナ、朝から仕事か？」
一人の男はその言葉に振り向く
「ああ、今日は月に一度の大掃除の日でね」
「クラブの経営は大変だねぇ」
「確かにね、副業の方が儲かるぐらいだよ」
「なんなら、薬だけ売ってれば良いもんを」
「カモフラージュというものは必要なのさ、
周りの信頼のためにも…ねぇ？」
月一度の大掃除の日
普段から小綺麗にしているナイトクラブでも
やはり、細かいところは掃除はできないのだ
だからこの日がある
品のいい店を作るにはこういった気遣いが必要なのだ
男はナイトクラブの裏口の鍵を開け
まず最初に地下へ向かう
いつだって男は出勤して直ぐに地下へ向かい
"商品"を確認する
そしてそれを一袋、コートの隠しポケットに入れ
一階へ戻った
店は19時
"開店"までの時間は充分
男は掃除道具を持ち、店のカウンターへ向かう
ふと、クラブの中心にあるステージに目線を向ける
「残念だ、ショーを見れないのは」
あのバンドの事件は非常に残念な話だ…
「…客は11時」
あと一時間程の余裕は店を掃除に使うとしようか
"対面"までの時間は充分
「それまでは俺のショーに付き合ってくれるかい？」
背面から急に聞こえた声に反応し、男は反射的に振り返った
「Hello! "オーナー"」
カウンターにはアルフレッドが軽く壁に寄りかかり、手を振り立っていた
「…あ、アルフレッド君…きみは休暇中だろう？
怪我は…」
「暇だったし、お手伝いしに来たんだぞ!」
アルフレッドはお酒の棚を眺める
「ダメだよ、君…まだ…怪我の様子を見ないと？」
「様子？客の様子ならまだ来てないんだぞ？」
アルフレッドが3種類ほどのドリンクを酒棚から取り出し
シェイカーの中に分量を測りながら入れていく、
「客?ここは19時開店だよ、アルフレッドくん、
客は来やしないさ」
男はカウンターのひと席に座る
「そうなのかい？でも、"客は11時"からなんだろ？」
アルフレッドは手慣れたようにシェイカーを振り
「俺はてっきり、早く店を開けると思った」
グラスにカクテルを注いだ
「…いいや、違う…別の…用事が…11時からあるんだ、
だから、せっかく準備してくれたカクテルだけど、私は飲めない」
「薬は飲めても、酒は飲めないかい？」
その言葉に男は目を見開く
男の手前にはカクテルが置かれていた
「オーナーならこのカクテル名知ってるよね？
Mr.リチャード」
リチャードはアルフレッドに目線を移した
「XYZ…後も先も無い酒さ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほのか - すごく、面白いです！ 続きが楽しみです！ (2019年3月16日 8時) (
レス) id: a60bbace95 (このIDを非表示/違反報告)
ルシファー(プロフ) - こちらの不備でフラグが立ったままになっていました、コメントしていただきありがとうございます (2018年10月3日 16時) (レス) id: af91d7f1d2 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月3日 7時) (レス) id: cafe052365 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルシファー | 作成日時：2018年10月3日 3時
