16.契約 ページ17
日はすっかり沈んだ夜
暗く殺風景な部屋
小さな寝息をたてながら、
Aはベットで眠る
月は雲に隠れ、窓から差し込む光が消えた
特に物音のしない部屋に彼はいた
「……」
靴を履いたまま、アルフレッドはAへ近づく
コツ、コツ、という靴底の音を立て
「………」
ベットがぎしりと音を立てる
アルフレッドはAに覆い被さって、
Aの顔の横に手をつける
彼の目は獣のように赤い眼光をAへ光らせる
「………A…」
小声でその名前を呟く
手が震え…目を伏せる
「………好きにしなさい、アルフレッド」
アルフレッドは目を見開く、目の前を見ると
先ほどまで眠っていた彼女がこちらに優しい目を向けていた
雲に隠れていた月が顔を出し、
月光が窓から差し込む
「…好きにしなさい、アルフレッド、
私の精力を食らうんでしょう?」
「翼のない俺は今誰からも精力をとれない」
「一つだけあるんでしょ?」
「っ…A、今から俺が何するか分かってるのかい?」
「…行為」
「………」
アルフレッドは唇を噛みしめる
「私とアルフレッドは
最初の出会いの接吻から契約が結ばれてるんだよね」
「…はは、また、マシューに無駄なこと聞いたねぇ」
「契約した人間は
悪魔の精力を保つためのいわば、保存食
私はアルフレッドの身に危険が生じたときの…
生贄」
アルフレッドはシーツを手で握りしめる
「…ほんと…なんで君を好きになったんだろうね……悪魔が人間を好きになるなんてこの世のタブーだよ…」
アルフレッドはAを食らうように
キスをすると無理やり舌をAと絡ませる
Aは特に対抗することない
唇が離れ、銀の糸が引く
Aの力が抜けていくのが感じられた
アルフレッドはAの肩に顔を埋める
「こんなの、下級の悪魔とすることが同じだ…っくそ…」
「…アルフレッド」
Aは頰に優しく手を触れる
「…君…明日も、また、動けなくなるんだぞ…」
アルフレッドは頰にあたる柔らかい手をゆっくりと握りしめる
「………手加減、できないから」
「…ああ…そう…Aだ、迷惑だけはかけるなよ」
アーサーは独り窓の外に向かってつぶやいていた
「…アーサーさん?」
キッチンから戻ってきたマシューは不思議そうにアーサーを見つめる
「あ、いや…独り言だ!アルフレッドの奴、こんな時間までどこほっつき歩いてんだ」
「あー…まあ、明日には帰りますよ」
「…ったく、世話の焼ける奴だ」
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ほのか - すごく、面白いです! 続きが楽しみです! (2019年3月16日 8時) (レス) id: a60bbace95 (このIDを非表示/違反報告)
ルシファー(プロフ) - こちらの不備でフラグが立ったままになっていました、コメントしていただきありがとうございます (2018年10月3日 16時) (レス) id: af91d7f1d2 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月3日 7時) (レス) id: cafe052365 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルシファー | 作成日時:2018年10月3日 3時