21(凛side) ページ21
凛side
今しがたモモとAが泳いでいるところを見た。
初めて会った時、その綺麗なフォームに目を見張ったのを覚えてる。
鮫柄の面々もそれに気づいたのか、後輩やらなんやらがAのことを話しているのが聞こえる。
すごい、とか速い、とかだったりならまだ言いたいこともわかるし特に思うことはない。
けど聞こえたものはしょうがなかった
「七瀬妹ってさ、顔も整ってるしスタイルもいいよな、胸とかさ」
「声かけてくれば？」
「部長と今さっきいちゃついてたからもう付き合ってるのかもよ」
「話すだけなら無料だって」
自分の部の人間ながらいよいよ嫌気が差す。
まず他人の身体見てあれこれ言うなよ
しかも名前も覚えないで「七瀬妹」で一括りは酷いんじゃねえか。
所詮モノ扱いかよ。
オーストラリアから帰ってきてAと会ったとき、いろんな意味で驚いた
相変わらずハルとの距離は近かったけど、俺との背の差が顕著に大きくなった
もちろんタイムも上がってたけど全体的に大人っぽくなったというか
色っぽくなったような気がした。
深い藍色の瞳、流れるような髪の毛。
周りは遥に似ている、なんて言うけど俺にはわかった。
ハルのそれとは一味ちがう、纏う雰囲気が艶やかで、どこか色気づいた感じ。
俺がオーストラリアにいた間にこいつは何を経験して何を感じていたのか
でも話してみれば口調、話す速さ、笑い方、全然変わらない。
だから今でもなおわからない。
俺がいない間何があった？
俺がキスした時のAの顔、あいつあんな顔もするんだ。
今まで知らなかった。
もしかしたら俺が知ってることは、あいつの中ではほんの僅かなのではないか。
気づいた。
他人があいつのことを知ったように話していると腹が立つこと。
Aのことを気にかけてしまうこと。
これは好きってことなんだろうと。
オーストラリアでは水泳一筋で気づかなかったことに今更気がついてしまった。
俺は今どうするべきなのか。
気づいた時にはAに言っていた。
凛「練習終わったら、俺の寮来いよ。」
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RIO - え、凛ちゃん好き。めっちゃ好きです、この話！あと、こういう関係性どちゃくそ好みです！ (2022年3月2日 23時) (
レス) @page23 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牛乳パン | 作成日時：2021年11月5日 20時
