空より遠く、海より近い【松岡凛】 (ページ15)

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似鳥「あの〜、」

何か言いづらそうに口をもぞもぞさせる似鳥くん

凛「どうした似鳥？」

一向に口を開けない似鳥くんに痺れを切らしたのか百太郎くんが沈黙を切った

百「はい！じゃあ俺聞いていい！？

松岡先輩ってA先輩と付き合ってるんすか！？」

百太郎くんの声は思いの外大きく、周りにいた人たちが一斉にこっちを見てしまった。

声が大きいよ百太郎くんー......泣

心の叫びも虚しい、とにかく何か言わなくては。

変に怪しまれる方がもっと面倒くさいことになるのは目に見えている。

実際付き合ってるわけでもないしやましいことも一切ない。

これと言って嘘をつく必要もない。イージーだ。

凛もフリーズしているのか知らないが全く挙動を示さない。

さてどうしたものか。

しょうがない、と私が口を開いたその瞬間だった。

凛「そう見えるなら付き合ってるって言っとく？」

え、？

ついでと言うかのごとく、流れるように肩を引き寄せ、頬に軽くキスをしてウインクまでかましてきた。

つ、付き合ってないよーー！！

心の叫びは届くはずもなく、その場がいけないものを見てしまったと言う空気でいっぱいになる。

当の本人はというと、「練習始めんぞー」といつも通りの調子に戻っていて心底悔しい。

してやられた。

外国に行った人というのは、こうも言動がオーバーになるのだろうか。

無論、そんなはずはなかろう。