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五話 ページ7

イルミがとある情報屋に依頼をしてから、一日が経過した。
連絡はまだ来ない。当然だ。ゾルディックの人間をも撒くほどの相手を探すなんて、並大抵の情報屋ではできるはずもないのだから。

「ゴトー、アレの動きは?」
「アレ……と申しますと」
「とぼけないでくれる? お前があの時情報屋に見張りを置いてったこと、俺が感知してないとでも?」

イルミの指摘に、ゴトーと呼ばれた執事が頭を下げた。

「申し訳ございません、イルミ様。お耳に入れるのも恥ずべき些事と愚考致しまして」
「いいから」
「は……。かの情報屋は、調査に奔走している様子は今のところありません」

イルミはゴトーの報告を聞くなり、眉を寄せた。
初対面で俺の正体を見抜いていたアレが、調査していない?

「……ふぅん」

──腕の良い情報屋を見つけたと思ったけど、外れだったかな。

思案するイルミの懐で、携帯がかすかに振動した。
家族からか、それとも変態奇術師からか。予想しながら携帯を取り出したイルミの目には、見知らぬアドレスが映った。
メールを開いてみれば、そこには。

「ゴトー、例の情報屋、調査終わったってさ」

調査完了、来店時間をお知らせください。そう書かれたメールを閉じ、イルミはゴトーに目をやった。
ゴトーは眉を動かしたものの、表情を崩さずに頭を下げた。
恐らくは、あの情報屋が調査に動いている様子もなかったのに調査完了を告げてきた不可解さが気に食わなかったのだろう。
ゴトーはつじつまの合わないこと嫌いだからな。イルミは内心で呟く。

それにしても、情報屋はどうやって調査したのだろうか。
まさか、ミルキのようにパソコンで調べるタイプなのだろうか。
だとしたらあまり期待はできない。ミルキには、既にあらゆる手段を使わせてイルミの標的の足取りを追ってもらっているのだ。成果は得られていないけれど。
あの情報屋が、ゾルディック家の者より優れた技術を持っているということもないだろう。

──やっぱり外れだったかな。ちょっとは使えると思ったんだけど。

「如何なさいますか?」
「店に行くよ。これでミルキ以下だったら、二度と利用しないだけだからね。車出して」
「かしこまりました」

携帯を軽く操作して返信すると、イルミはソファーから立ち上がって歩き出す。
自身の予想が裏切られることになるなど、この時の彼は思ってもいなかった。

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設定タグ:ハンターハンター , イルミ , H×H   
作品ジャンル:恋愛
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こめこめコメダ(プロフ) - 続き楽しみですっ……めっちゃ面白いです、ありがとうございます!!!!! (2023年3月19日 16時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - クロさんの作品大好きです!更新ありがとうございます! (2023年3月16日 22時) (レス) id: 1984ade8f5 (このIDを非表示/違反報告)
腐腐腐 - めっさ好きです!この作品に運命(?)を感じました笑続き楽しみに待ってます! (2022年5月22日 22時) (レス) @page12 id: c7cac8184e (このIDを非表示/違反報告)
吸血鬼少女 - すっごい面白い!イルミ大好きなので、読んでて凄い楽しいです。更新いつまでも待ってます☆ (2021年5月2日 16時) (レス) id: 97d3b05e39 (このIDを非表示/違反報告)
フェル - めちゃくちゃ面白かったです、続き楽しみにしてます! (2021年3月20日 17時) (レス) id: d6649fea10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クロ | 作成日時:2021年2月20日 1時

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