三十七話 ページ39
先日貰った番号はワンボタンでコール出来るように登録しておいた。
イルミが電話番号を寄越すほど警戒しなきゃいけない相手なのかも、と思ったが故だ。
それはそれとして、イルミは今日もリィサの所に来る。店側にも来るが、家側にも来る。
これで何度目だろうか。７回目くらいな気がする。
『……本当に、どうしたの？』
「……」
なんか悩みごとでもあるのだろうか。そう思って聞いてみたけど、返事はなかった。
ちょっと視線をこっちに寄越して、すぐ逸らす。
なんだか部屋の中でツンツンタイプの猫を飼ってる気分だ。言ったら睨まれそうだから、言わないけど。
『ご飯食べてく？』
「食べる」
今日はシチューだ。もちもちパンをつけて食べるのだ。
どうせ今日もいらないんだろうな。そう思いながらお玉を──
『……えっ！？』
「なに、うるさい」
『食べるの……？』
「お前が聞いたんでしょ」
じっとりと半目で見つめられて、おっかなびっくりイルミの分も皿を用意する。
そのまま机に夕食を並べれば、イルミは何も言わずに食べ始めた。
なつかない猫がなついた気分だ。思わずイルミをまじまじと見てしまう。
スープをつけたパンを伏し目がちに口に入れるところまで見て、何か見てはいけないものを見たような気がして慌てて自分も食べ始める。
忘れがちだが、イルミは見目の整った男性だ。目はパッチリしてるし、鼻筋はスッと通っているし、髪はさらさら。
体つきは細身だけど男性らしくがっしりしていて、全体的にバランスがいい。
あと、育ちが育ちだからだろう、物を食べる姿が上品だ。
「さっきからなに」
リィサが見ていることに気付いたイルミが視線を上げる。ぱちりと目が合って、リィサは後ろめたい気持ちになった。
『イルミって結構かっこいいんだなーって思って……』
正直に答えてから恥ずかしくなって、目を逸らす。そんなつもりはなかったのに、異性として意識してるって告白してるみたいだ。
「お前って、俺が好みなの？」
『ちっ……がわないけど』
はっきりと聞かれて反射的に違うと言いそうになったけど、かっこいいなって思ってる時点で見た目が好みなのは事実だ。
中身の方はよく知らないから何とも言えない。でも、今までの印象では好ましい方だと思う。
「……ふうん、そう」
イルミはそう返事したきり、食べ終わりまで一言も喋らなかった。
リィサもリィサで、気恥ずかしくて黙って食事を終えた。
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こめこめコメダ(プロフ) - 続き楽しみですっ……めっちゃ面白いです、ありがとうございます！！！！！ (2023年3月19日 16時) (
レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - クロさんの作品大好きです！更新ありがとうございます！ (2023年3月16日 22時) (レス) id: 1984ade8f5 (このIDを非表示/違反報告)
腐腐腐 - めっさ好きです！この作品に運命(？)を感じました笑続き楽しみに待ってます！ (2022年5月22日 22時) (レス) @page12 id: c7cac8184e (このIDを非表示/違反報告)
吸血鬼少女 - すっごい面白い！イルミ大好きなので、読んでて凄い楽しいです。更新いつまでも待ってます☆ (2021年5月2日 16時) (レス) id: 97d3b05e39 (このIDを非表示/違反報告)
フェル - めちゃくちゃ面白かったです、続き楽しみにしてます！ (2021年3月20日 17時) (レス) id: d6649fea10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2021年2月20日 1時
