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三十六話 ページ38

リィサの店は相変わらず平和だ。
何でも屋の方で入った猫探しと、店番と、庭の草取りなどの仕事をこなし、情報屋の方はほぼイルミと顔を突き合わせる。
快楽殺人鬼に目を付けられたと戦々恐々としたのはあの日帰り出張の翌日までで、今では特に気にしていなかった。

店に現れるなどされれば話は別なのだが、そんな気配もない。
むしろ変わったことと言えば、イルミの来訪頻度が増えたくらいだ。

『……イルミ』
「なに」
『もう営業時間外なんだけど』

外はとっくに日が落ちた午後6時。夜ご飯の支度をしていたら突然イルミの気配がしたから、振り返ったらイルミがいた。ベランダから入ってきていた。
初見の登場であれば時間帯的にもちょっと心臓に悪いのだが、リィサはこの時間にこれを見るのは3回目である。

ちなみに初めて見たときは気配がなかったから叫んだ。すごく心臓に悪かったし、せめて気配を出してから入れとガチ説教までした。

「仕事で来たわけじゃないから」
『じゃあなに?』

用件を聞くと、イルミは黙りこむ。
答えられないのか、答えたくないのかリィサにはわからない。イルミの情報は知っているが、それは簡単なプロフィールのみで、こういう場合に何を考えているかとかの予測は立てられないのだ。

『折角だからご飯食べてく?』
「いらない」

即答で断られる。これも3回目だ。
何故ご飯に誘っているのかと言えば、イルミがリィサの食事姿をじっと見てくるからである。
気まずい。とても気まずい。
見られると落ち着かないと伝えたら視線は別の場所に向けるようになったけれど、リィサにはわかる。イルミは視界の端でリィサを見ている。

──どうしてこうなったんだっけ。

仕事で来訪頻度が増えるならまだわかるが、大体は仕事じゃない。
増えたタイミングがタイミングだから道化師が来ないか警戒してるのかなとも思ったが、そもそもリィサを道化師から守るメリットがイルミにない。と思う。
道化師の目的がわからない以上、何とも言えないけれど。

「あ、そうだ」
『ん?』
「ヒソカが来たらこれにかけて。200万で代わりに相手してあげる」

そっと差し出された紙片には番号が書かれてる。

『……これ、イルミの電話番号?』
「そうだよ」

メール番号に引き続き電話番号まで貰ってしまった。
本当に、どうしてこうなったんだろう。

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設定タグ:ハンターハンター , イルミ , H×H   
作品ジャンル:恋愛
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こめこめコメダ(プロフ) - 続き楽しみですっ……めっちゃ面白いです、ありがとうございます!!!!! (2023年3月19日 16時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - クロさんの作品大好きです!更新ありがとうございます! (2023年3月16日 22時) (レス) id: 1984ade8f5 (このIDを非表示/違反報告)
腐腐腐 - めっさ好きです!この作品に運命(?)を感じました笑続き楽しみに待ってます! (2022年5月22日 22時) (レス) @page12 id: c7cac8184e (このIDを非表示/違反報告)
吸血鬼少女 - すっごい面白い!イルミ大好きなので、読んでて凄い楽しいです。更新いつまでも待ってます☆ (2021年5月2日 16時) (レス) id: 97d3b05e39 (このIDを非表示/違反報告)
フェル - めちゃくちゃ面白かったです、続き楽しみにしてます! (2021年3月20日 17時) (レス) id: d6649fea10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クロ | 作成日時:2021年2月20日 1時

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