二十六話 ページ28
『私のことを助けて、私に感謝されて、イルミにメリットはないよ』
「そうかな。お前に恩を売って飼うのはアリだと思うんだけど」
『そうまでして私を囲うメリットがない。前も言ったけど、私のところで買う情報はイルミや執事さんたちでも入手できるものだ』
だから、取引が必要な分マイナスになる。イルミにメリットはない。
『そもそも、イルミにとって私は”その他大勢”。死のうが生きようがどうでもいい。どうでもいい相手に情けはかけても、嘘をつくような人間じゃないでしょ』
リィサがはっきりそう告げると、イルミは口元に手を当てて考え込む素振りをした。
その反応が予想外のことを聞いた風なもので、もしや的外れかと少しだけ不安になる。
「まぁ……そうか……そうだな」
たっぷり長い間を空けて、イルミがぽつりと呟いた。そしてどこか愉快そうに目を細めて、笑った──笑った!
「お前、よくわかってるんだね」
『あれだけ頻繁に会って話してたら薄々察する』
本当は過去に念で知ったことも併せて分析してるだけだけど、それは言う必要のないことだ。
「面白いね、お前。本気で飼いたくなってきた」
『一応言っておくけど、料金はあまり割引できないよ』
「そこはいいや、お前を雇う金なんてはした金だし」
ゾルディック家特有の金銭感覚にリィサは思わず目眩がした。
というかしれっと流しちゃったけど、飼うってなんだ飼うって。子飼いの情報屋にするって意味か?
『……イルミの専属情報屋とかにはなれないよ』
「別にいいさ、俺が利用したい時に利用できればね」
恐る恐るリィサが言った言葉も、イルミはさして気にしてないようだった。
子飼いの情報屋にするわけでもないんなら、一体どういったつもりなんだろう?
「そうだ。お前ってなんて名前だっけ」
『シャーリィサ・カリーナ』
またなんか敬語を止めさせられた時と同じ、リィサには全くわからない流れになってる気がする。
おまけにイルミは愉快げな笑顔のままだ。色気が滲んで、異性に対して淡白なリィサでもドキドキするぐらい大変目に眩しい。
リィサが戸惑っていると、イルミは咀嚼するように言った。
「ふぅん、シャーリィサ……愛称はリィサか」
『そうだけど』
「語感悪いからリィでいい?」
リィ。その呼び名を聞いたときに、リィサは心臓をわしづかみにされたような気持ちになった。
私の可愛いリィ。僕の愛しいリィ。
リィという呼び方は、両親がリィサを特別褒める時の呼び方だったのだ。
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こめこめコメダ(プロフ) - 続き楽しみですっ……めっちゃ面白いです、ありがとうございます!!!!! (2023年3月19日 16時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - クロさんの作品大好きです!更新ありがとうございます! (2023年3月16日 22時) (レス) id: 1984ade8f5 (このIDを非表示/違反報告)
腐腐腐 - めっさ好きです!この作品に運命(?)を感じました笑続き楽しみに待ってます! (2022年5月22日 22時) (レス) @page12 id: c7cac8184e (このIDを非表示/違反報告)
吸血鬼少女 - すっごい面白い!イルミ大好きなので、読んでて凄い楽しいです。更新いつまでも待ってます☆ (2021年5月2日 16時) (レス) id: 97d3b05e39 (このIDを非表示/違反報告)
フェル - めちゃくちゃ面白かったです、続き楽しみにしてます! (2021年3月20日 17時) (レス) id: d6649fea10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2021年2月20日 1時