十五話 ページ17
「親父がさ。たまには休めって言ってくるんだよね」
『休めばいいんじゃ』
この人に情報屋として依頼を貰っている身からすると、少し働き過ぎだと思う。
リィサは念能力で調査を楽に済ませられるが、リィサの調査とは別で自身でも調査を行うイルミは連日動き通しだろう。
そう思っての返答だったが、イルミはため息をついた。
「普段通りに休んでたら、ちゃんと休めって言われたんだよ。意味がわからない」
『一応聞くけど、普段の休日は何を?』
「毒のメニューを増やして、キツい訓練を十セットずつ増やして」
『よくわかりました』
明かされた情報の断片からおおよその全容を把握し、リィサは食いぎみに相づちを打った。
というか"増やして"って。もしかして休日でない日もやってるのだろうか。
『貴方のお父さんは体に負担をかけないように休んでもらいたかったんじゃないかな』
「俺もそう思って、何もせずに休んだよ。そしたら”そうじゃない”って」
『それは……本当に何もせず?』
「うん、ソファーに座ってぼーっとしてた」
この返答にリィサはこめかみを指で揉んだ。
イルミのお父さんの気持ちがちょっとわかった気がする。彼はなんというか、ちょっと極端だ。
弟さんがいるのだから、弟さんと関わるかしたらいいのに。そう思わないでもないが、きっとそれもお父さんに止められたかしたのだろう。
リィサが頭を悩ませていると、無表情に戻ったイルミが再び問いを投げかけてきた。
「で、お前は休日何してるの」
『やりたいことをやったり、かな。あとは掃除したり、家事したり』
「執事いないようだしね」
『普通はいないよ』
リィサは思い付く限りの休日の過ごし方をつらつらと話した。
気になった本を読んだり、調べものをしたり、遊びに出かけたり、知人と会ったり。
どれもイルミにはぴんと来なかったようで、彼は興味なさげな様子だった。
「で、お前は今日何をするつもりだったの」
『え…うーん、ご飯を食べに行ったり、買い物をしてこようかなって』
ふと暗殺一家のご長男に自分は何を話しているんだろうと思ったが、本人がご所望なのだから諦めるしかない。
そのまましばらくイルミの反応を待っていると、リィサの返答にしばし考えこんだイルミが良い案を思い付いたと言いたげなわざとらしい笑顔を浮かべた。
「よし、お前についていくことにした」
『はい?』
彼の考えていることはリィサにはわからなかった。
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こめこめコメダ(プロフ) - 続き楽しみですっ……めっちゃ面白いです、ありがとうございます!!!!! (2023年3月19日 16時) (レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - クロさんの作品大好きです!更新ありがとうございます! (2023年3月16日 22時) (レス) id: 1984ade8f5 (このIDを非表示/違反報告)
腐腐腐 - めっさ好きです!この作品に運命(?)を感じました笑続き楽しみに待ってます! (2022年5月22日 22時) (レス) @page12 id: c7cac8184e (このIDを非表示/違反報告)
吸血鬼少女 - すっごい面白い!イルミ大好きなので、読んでて凄い楽しいです。更新いつまでも待ってます☆ (2021年5月2日 16時) (レス) id: 97d3b05e39 (このIDを非表示/違反報告)
フェル - めちゃくちゃ面白かったです、続き楽しみにしてます! (2021年3月20日 17時) (レス) id: d6649fea10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2021年2月20日 1時