九話 ページ11
──衝撃的な客の来訪から早2週間が経った。
今日も空は快晴、気持ちの良い風が吹いている。少し遠出をするにはもってこいの外出日和だろう。
しかしそれは、今日を休日として生きる人間ならの話。
リィサは本日仕事の予定があった。というか、ここ連日ずっと仕事が入っていた。
何でも屋の方で荷運び、人探し、犬の散歩代行……これは以前からよくあることだ。小さなことからコツコツと何でも屋としての実績を積んで、街での評判も良好な今、リィサの店には依頼が少なからず舞い込む。
けれども幾ら評判が良いからといって、何でも屋に毎日立て続けに仕事が入るかというとそれは否。
では何故、連日仕事漬けになっているのかと言うと。
「今回も早かったね、ご苦労様」
店の扉が音もなく開く。黒髪を靡かせて現れた長身の男に、リィサは内心で緊張した。
彼はイルミ＝ゾルディック。パドキアにその家ありと謳われる伝説の暗殺一家のご長男様である。
『お待ちしてました。調査の詳細はこちらに』
「どーも」
数枚の紙の束を差し出し、イルミがそれに目を通すのを息を潜めて待つ。
念によって正確な情報を入手しているから間違いなどあるはずもない。しかし緊張してしまうのはひとえにイルミの素性によるものである。
既に幾度も取引を行っているのに、リィサはいまだに慣れることができないでいた。
そう、幾度も取引を行っている。ここ2週間の多忙はそれが原因だった。
以前のリィサは、1週間に2日は必ず何も入らない日があった。
というか、何でも屋の方はともかく情報屋の方は客が少ないのだから当然だ。リィサの情報は正確だが、リィサ自身情報屋のことを大々的に宣伝しているわけじゃない。
むしろ自身の扱う情報が正確だからこそ、少ない手がかりから自身の元へと辿り着ける客だけを相手にするようにしていた結果、客が少ないのだ。
閑話休題。
しかし、イルミが客となってからは生活が一変した。
彼の仕事は尽きることがないのか、3日に1回ペースで店へとやってくる。何なら結果を知った後に新たな仕事を置いて去っていく。正直休まらない。主に心が。
「それじゃ、次はこの女。バチルダグループの社長の愛人だってさ。報酬は前払いで200万。よろしくね」
これである。たった今調査結果を出した身に、少し酷すぎやしないだろうか。彼の方が仕事が多いだろうことは抜きにして。
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こめこめコメダ(プロフ) - 続き楽しみですっ……めっちゃ面白いです、ありがとうございます！！！！！ (2023年3月19日 16時) (
レス) id: b8ad08ce24 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - クロさんの作品大好きです！更新ありがとうございます！ (2023年3月16日 22時) (レス) id: 1984ade8f5 (このIDを非表示/違反報告)
腐腐腐 - めっさ好きです！この作品に運命(？)を感じました笑続き楽しみに待ってます！ (2022年5月22日 22時) (レス) @page12 id: c7cac8184e (このIDを非表示/違反報告)
吸血鬼少女 - すっごい面白い！イルミ大好きなので、読んでて凄い楽しいです。更新いつまでも待ってます☆ (2021年5月2日 16時) (レス) id: 97d3b05e39 (このIDを非表示/違反報告)
フェル - めちゃくちゃ面白かったです、続き楽しみにしてます！ (2021年3月20日 17時) (レス) id: d6649fea10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2021年2月20日 1時
