191、奇術師と皐月 ページ32
【フェイタン side】
「歩くくらい出来るよ」
団長が来ようとする前にそう言って、ヒソカの言葉を否定する。
確かに気だるいが誰かの手を借りる程ではない。襲撃があったって問題ないくらいには動けるだろう。
そのレベルまでワタシを回復させたのはソフィアだ。更に借りを作ってしまったと思うが、忌避感はもうなかった。
「フェイタン」
「何か、団長」
「何があったのか推測はできるが、より状況を把握するためにお前の記憶をパクに見てもらいたい。いいな」
「わかたね」
団長の申し出は至極当然のこと。故に頷く。
ここに来ていない団員たちにも状況を理解してもらうために、記憶を読めるパクノダに見てもらい出来事を明確化させるのだ。
「イルミ、お前の親はまだ来ると思うか」
「絶対来ない。爺ちゃんと協会の会長が動いたからね、親父もこれ以上は損だってわかった筈だよ」
「ならば問題ないな」
会長。ソフィアを鎮めた人物、アイザック・ネテロのこと。
あまり社会のことに興味がないワタシでも知ってる、ハンター協会の最高責任者。
「……アイツ、ソフィアとどんな関係ね」
ハンター協会の者である以上はA級賞金首の自分達を見逃せないはず。それなのにワタシや団長がいるのも気にせずソフィアのことだけを忠告したというのは、どういった意図があるのだろうか。
「ああ、ソフィアの名付け親で育ての親って言ってたよ」
「試験の様子からなんとなくは察してたけど、やっぱりそうか◆」
ゾルディックの長男が聞いたのなら本当のことだろう。つまりアイツはソフィアのことをよく知る人物ということだ。
なんとなく気に入らないが、忠告も聞く価値はある。
……気に入らないと言えば当たり前のようにヒソカがソフィアを抱えているこの状況の方が気に入らないのだが。
じっと睨んでいると、不意にヒソカがこっちを見た。にいと不敵に笑われる。目を抉り取ってやりたい。
「そう怒るなよ、今のキミじゃソフィアを抱えるのは無理だろう?◆」
「ワタシそいつを抱えたいなんて言てないね」
「おやそうかい? ボクが彼女を抱えるのが気に食わないって顔してるケド◆」
一瞬本気で斬ってやろうか考えたが、さすがに今の状態では切っ先すら届かないだろう。曲がりなりにも奴は団長が認める腕の持ち主なのだ。
舌打ちをすると同時に、団長が苦笑しながら口を開いた。
「ともかく、まずは拠点に帰るとしよう。ベッドに寝かせたい奴が二人いるからな」
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です! (9月18日 1時) (レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます!!続きがとても気になります!!イルミ落ちがいいです! (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました!!とても面白くてこのシリーズ大好きです!もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます!頑張ってください!! (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました!私はこのシリーズがとても大好きになりました!もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています! (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです!更新待ってます! (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年9月4日 4時