190、嵐が過ぎて ページ31
【ヒソカ side】
あの爺さんが森の奥に消えた後、ボクらは彼が放った言葉の意味について考えていた。
「ソフィアに生まれつきの能力を解放させるな……要するに、獣の瞳を出させるなということか?」
「だろうね。解放という言葉を使っているのを見るに、恐らく普段は封じていて、彼女が解放したときにあの瞳が出るんだと思う」
ハンター試験での様子を考えても、ボクもイルミと同じ見解だ。そして恐らくそれは正解なのだろう。
ただ、気になっていることがある。ソフィアは二次試験と最終試験の時に獣の瞳を見せたことがあったが、オーラの色は変わっていなかったはずだ。
思考を巡らせるボクの側で、クロロがふむと呟いた。
「だが、ソフィアは眠っている間はあの瞳が出ている状態だ。それの説明がつかない」
「……どういうことだい?◆」
「お前も以前見ただろう、眠っているソフィアがトランプを弾くところを。もしかすると、意識のない間は常時発動しているのかもしれん」
確かに出会ったとき、眠っている彼女に向けて投げたはずのトランプが弾かれたことがある。クロロの言うそれ以外にあの現象の説明もつかない以上、そうだと仮定する。
「オレも寝てるソフィアが武器弾いたの見たよ。三次試験と、家でソフィアを追っかけたときに」
「悪意、害意、敵意、殺意……彼女にとって悪影響をもたらすものが近付けばソフィアの力が解放される、ように思うが」
「ボクは何度か起きている彼女に殺気を向けたけど、起きている間は変化はなかったかな◇ つまり、寝ている間限定◇」
「ヒソカのそれで多分合ってる。オレの方でも色々あったけど能力を解放するの遅かったし」
何を思い出しているのやら、イルミの気配が萎んだ気がした。随分と素直になったな、と思いながら、ソフィアをひょいと抱き上げる。
最後の最後で練を解いたからか、頭から血を流していたけれど。近くで見るに、ボクらが話している間に傷はすっかり癒えていた。
「だとすると、起きている間に解放することであの瞳に……あ、おいヒソカ」
「団長はあそこの彼を手伝ってあげなよ◆ 彼、回復してるとはいえダメージはまだ残っているだろう?◇」
やや離れた場所で立ち上がるフェイタンを示す。一見健康体であるように見えるが、この三人の目は誤魔化せない。
重心はフラついているし、足も微かにだが震えている。受けたダメージが大きかったことの証左だ。
それでも平気そうにしているのはさすがだけど。
333人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です! (9月18日 1時) (レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます!!続きがとても気になります!!イルミ落ちがいいです! (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました!!とても面白くてこのシリーズ大好きです!もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます!頑張ってください!! (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました!私はこのシリーズがとても大好きになりました!もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています! (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです!更新待ってます! (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クロ | 作成日時:2019年9月4日 4時