１７８、彼女の徐念 ページ19
私は、暗黒大陸で色々な生物を喰らってきた。
といっても、喰った相手の能力を自分のものにするなんてことが出来たわけじゃない。ただ単に何でも食べることができるだけ。
フェイタンを助けようと枷を外したときに、思ったのだ。オーラももしかして食べることができるのではないだろうか、と。
そして、その予想は当たっていた。
(フェイタンのオーラを避けてこの念を喰うには……やっぱり、一度フェイタンの身から完全に取り出す必要がある)
自分の中に操作の念を吸収するためには、操作の念のオーラとフェイタンのオーラを確実に選り分けて念のオーラだけを私の体に移動する必要がある。消化はそのあとだ。
彼の体に私のオーラを纏わせれば、フェイタンが緊張したように軽く固まった。
(うう、嫌な感じ。気持ち悪いわ、こんなオーラを浴びてよく無事だったわね)
寒気がするほどの、まさしく怨念と呼ぶに相応しい感情がオーラから伝わってくる。それをゆっくりと、刺激しないように能力で封じながら吸収していく。恐らく亀の歩み、もしくはカタツムリの歩みにも等しいくらいの吸収速度。
自身の中に念が入り込んで蓄積する度、イルミの家で毒を摂取してしまった時のような感覚に襲われる。
(これは消化しきるまで辛いかも……)
体を預けるようにしてフェイタンの肩に額を乗せる。軽く力を抜けば幾分か気分が楽になった。
居心地が悪いのか身じろぐ彼には申し訳ないけれど、しばらくこうさせてもらおう。
「そういえば、どうして警戒を解いたの？」
「何ね急に」
「少し気になって。昨日の貴方なら手を差し出してはこなかっただろうから」
徐念をするために仕方なく応じるとは思うけど、とっても嫌がられただろう。手も進んでは差し出さず、私が手を伸ばすのを待っていたかもしれない。
そう考えると昨日今日でのこの変わり様は疑問に思う。
「……自分が助けた命捨てるの許さない言たのお前よ」
「？ 確かに、言ったけれど」
「なら、お前もお前が助けた命捨てない」
「そうね」
少なくとも、一度救った以上助けた人を害することはしない。それは、無駄というものだ。
いずれ見捨てるのなら、最初から助けない。助けることこそ無意味であったのだから。
「お前が助けたワタシを、お前は害さない。だからワタシのいる旅団も害さない。間違てるか？」
確かに、そうだ。彼を助けるということは蜘蛛を──旅団を助けるということ。だから今朝から警戒されなくなったのか。
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です！ (9月18日 1時) (
レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます！！続きがとても気になります！！イルミ落ちがいいです！ (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました！！とても面白くてこのシリーズ大好きです！もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます！頑張ってください！！ (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました！私はこのシリーズがとても大好きになりました！もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています！ (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新待ってます！ (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年9月4日 4時
