１７６、問答無用で運ばれる ページ17
「うわぁ、降りそうね」
昨日と同じようなどんよりとした曇り空を見上げて呟く。降り足りないと言わんばかりの暗い雲が辺り一面に広がっていた。
「降りだす前に終わると良いのだけ、！？」
言い切るより前に体が傾き、地面から足が離れる。抱き上げられたのだと理解した時には周囲の景色が流れるように動いていて。
「フェイタン！？」
「早く終わらせたいなら黙て移動」
「わ、わかった、わかったから降ろして！ 私が貴方と同じ速度で走れるのは知ってるでしょう！？」
「今更降ろすよりこのまま走る方が早いよ」
確かにそうかもしれないと、一瞬納得してしまって返答に詰まる。しかしそれなら言ってくれれば走ったのにと思う。
考えてみれば、今までも抱き上げられてる時は言ってくれれば自分から行くのにと思うような状況だった気がする。信用されてない訳じゃないのだろうけど、複雑だ。
フェイタンの速度が緩んで、開けた場所に出た。先日手合わせした場所だ。
「ついたよ」
「運んでくれてありがとう……でも、次はちゃんと言ってくれれば自分で走るわ」
地面に足をつけて立ち上がって、振り返って言う。
……ぷいっと顔を逸らされた。さすがに少し、カチンとくる。
腕を伸ばしてフェイタンの頬を両手で包み、強引にこっちを向かせる。ぐっと眉間にシワを寄せて何するんだと言いたげに睨まれた。
「返事は！」
「……善処するね」
「……なら良し」
嘘でもわかったと言わないところに脱力してしまう。これは、後々同じことがあって指摘しても善処するとは言ったがわかったとは言ってないと返されて聞いてもらえなさそうだ。
運ばれる程度ならあまり咎めるようなものでもないし、深くは追求しないけれど。
「徐念。ワタシどうすればいいか」
頬から手を離すと、フェイタンがマントの背のところに腕を突っ込んでいる。何をしているのかと見ていたら、仕込み刀の入った傘を取り出して左手に持った。
持っていないとは思っていたけど、背中に隠していたなんて。ってそうじゃなくて。
「クロロから聞いているかもしれないけれど、私と接触してなきゃいけないの。接触箇所は多い方が良いから、抱き締めさせてもらえるとありがたいのだけど」
「……聞いてないよ。抱き締めるてお前がか」
「そうだけど……あれ、伝えてくれなかったのかしら」
嫌がってもやらせると言ってたから、クロロから伝えているものだと思っていた。どうやら違ったようだ。
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です！ (9月18日 1時) (
レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます！！続きがとても気になります！！イルミ落ちがいいです！ (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました！！とても面白くてこのシリーズ大好きです！もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます！頑張ってください！！ (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました！私はこのシリーズがとても大好きになりました！もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています！ (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新待ってます！ (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年9月4日 4時
