187、親の情 ページ28
【ネテロ side】
久方ぶりの音速の攻防にどこか楽しんでいる自分がいるのを感じながら、ソフィアの様子を分析する。
初めて見る状態だ。自身の言葉にも耳を貸そうとすらしない。それほどまでに怒る程、そこで倒れている青年に心を砕いたのか。
青年はソフィアのオーラに包まれている。アレでどうやら護っているらしい。器用なことだと思う。
その青年の周囲に、二人の男が練の状態で待機している。どちらも顔に覚えがあった。
(それにしても、この状態は異様じゃのう)
見たところ外傷の痕跡はない。だというのに、無意識の時に獣性を起こしたような無機質さが笑みの奥底に隠れて見えた。
生まれつきの能力故、デメリットなどないと思っていたが。
(あやつは”意識がある間に使うと本来の自分に近づく”と言っておったが)
恐ろしい速度で百式の掌を潜り抜けるソフィアを弾き飛ばす。轟音を立てて吹っ飛んでいった彼女は、着地すると同時に此方へ向かって一足跳びに向かってきていた。
どうやら自身も敵と認識されているらしい。
(もしや、能力を使用している間ではなくその後永久に、ソフィアの自我そのものに影響しているのか?)
だとしたら、自由にさせ続ければさせ続けるほど危険度が増す。
そこまで考えて、苦笑が漏れた。
ソフィアはあの大陸からやってきた、六番目の災厄だ。公にはされておらず、協会の中でも5、6人しか詳細な情報を知らない。
危険なんて最初からあったのだ。それを下げるためにネテロが努力しただけで。
「さて……そろそろ寝てはくれんかのぉ」
ソフィアは笑んだまま此方へと向かってくる。
出来れば気絶させたいところだ。あれをリセットさせる方法は敵と認識したものを倒すか、体が強制的に寝かされている状態にならないといけないことを自分は知っている。
即ち、気絶させるか、殺すか。
「──娘とも思えるお前を、蘇るとはいえ手にかけたくはないんだ。大人しく寝ろや」
ソフィアの笑みが消えて、練が弱まる。その瞬間、ソフィア目掛けて落とされた百式の手刀が命中して。
暴れ狂っていた獣は、地に沈んで動かなくなった。
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です! (9月18日 1時) (レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます!!続きがとても気になります!!イルミ落ちがいいです! (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました!!とても面白くてこのシリーズ大好きです!もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます!頑張ってください!! (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました!私はこのシリーズがとても大好きになりました!もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています! (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです!更新待ってます! (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年9月4日 4時