145、技を学んで深きを覗く ページ25
応用技の幅が広い。それに、応用技を更に応用すればただの肉弾戦と言えど高度な読み合いになる。発を駆使すれば尚更。
重要なのは戦闘中にどれほど正確に読み、技を使いこなせるかのようだ。技術が相手に勝っていなければ確実に負ける。技術が勝っていても裏を読まれれば苦戦する。
「さて、最後だ」
硬を止めて練に戻し、両手をポケットに突っ込むとクロロはオーラを広げ始めた。範囲が私の側まで迫ってきて、私の体をすっぽりと包み込んだところで止まった。
なんだか面白い感覚がする。クロロの気配に包まれているような、そんな感覚。
広がったオーラを見てみると、彼を中心にドーム状の形になっている。
「纏と練の応用、”円”だ。オーラを広げることで、感知範囲を広くしオーラ内部の情報をつぶさに読み取ることが出来る。ただし今体感しているように、オーラを広げているから当然気配は相手に伝わる」
「隠れている相手を見つけるとか、そういった感じの応用技なのね?」
「そうだな。熟練した者は相手のオーラに触れて実力を読み取れるから、円内部の密度や気配を変えたりすることで実力を隠すことも出来る」
逆に、円に触れる瞬間にオーラを引っ込めるかすれば実力を隠したまま相手の感知範囲に入れるということ。
それに密度と気配によっては円に入った相手を威圧することも出来る。戦闘には滅多に用いないだろうけれど、中々厄介な応用技だ。
元々薄い纏にして隠しているから良かったものの、触れた瞬間に実力を知られるなんて。
「この応用は人間によって向き不向きが違っていてな。持続させられる時間も、円の距離も才能と熟練度によって違いが出る」
「つまり、貴方は本来もっと広げられるということかしら」
「さてな。これで全て紹介したが……まあ、本当にどういうものか見せただけだ」
広げていたオーラが引っ込められて、クロロが纏の状態に戻る。
教えるからには習得出来るまで教えたいのだが。そう言う彼に私は首を振った。
「見せてもらえただけでもありがたいわ」
「そう思うならお前にも練を披露してもらいたい」
「それは無理ね、約束だもの」
とはいえ、先程凝をしていて思ったことがある。量を調整すれば練も常人とほぼ同じにすることが出来るのではないかと。
(……出来るだろうけれど、そもそも私の纏は普段より薄くしている。それで量を調節しても、私にとってはただの纏なのよね)
思考を回す私の側で、クロロがそういえば、と呟いた。
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作者名:クロ | 作成日時:2019年6月1日 15時