142、頭と問答 ページ22
【ソフィア side】
淡いブルーベリーカラーの七分丈オフショルダーブラウス、膝下まであるふんわりとした白いシフォンスカート。
マチの選んだそれらを着てバスルームから出れば、彼女は針を動かしていた手を止めて此方を向いた。
「やっぱり。アンタならなんでも似合うと思ったんだ」
「マチ、本当にありがとう! 貴女には感謝してもしきれないわね」
「礼なんか要らないって言ってるだろ、わかったから早く行きな。団長が待ってるよ」
「クロロが?」
「念についてどこまで習得しているか聞きたいから部屋に来いってさ。アンタ、フェイタンに勝ったんだってね。やるじゃん」
運が良かっただけだと言えば、素っ気ない返事を貰った。早く行けと急かされ、仕方なく服の入った布袋を持ってクロロの部屋に向かう。
それにしても、念についてか。そういえばどこまで出来るかは教えていなかったような。
朝の記憶を頼りにクロロの部屋まで歩きノックをする。中から聞こえた声に内心で安堵を覚え、扉を開いて入室すると彼は本を読んでいた。
「あがったか、待っていた。……髪、乾かすか?」
ドライヤーあるぞ。と棚を指差すクロロにぶんぶんと首を振って否定する。一瞬キョトンと目を丸くした彼は、そうかと一つ頷いて本題を切り出した。
「一応、基礎は全部かしら。纏、練、絶、発は教えてもらったわ」
「他は? 手合わせの時、オーラを動かしてただろう」
「知らないわね。あれはフェイタンのオーラの動きを真似してみただけよ」
「……だとしたらお前の才能は人並外れているな」
パタリと本を閉じてクロロが立ち上がり目の前にやってくる。彼は無表情のまま立ち止まると直後に纏の状態だったオーラを揺らがせ、鋭い殺気を放つと練の状態になった。
何をするのかと驚いて見ていればクロロもまた観察するように見つめ返してくる。
「驚いたな、本当に一切の防御をとっていない。それにその薄い纏では肉体への悪影響を防げないはずだが……何ともないようだ」
「少し肌がピリつくわね」
「それだけで済ませられると複雑な気分になってくるな。ところで……お前、練は本当に使わないだけか?」
発言の意図がわからず、思わず眉を寄せる。手合わせの時に言った通りなのだけど。
「どういう意味?」
「使えないのではないか、と思ってな」
「ちゃんと使えるわよ。言ったでしょう、約束だから使わないの」
「ヒソカとの、か」
頷けば、彼は考え込むように腕を組んだ。
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作者名:クロ | 作成日時:2019年6月1日 15時